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THE KING OF FIGHTERS 99 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃないん】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 アーケード(MVS) 発売・開発元 SNK 稼動開始日 1999年7月22日 レーティング CERO B(12歳以上対象) 配信 バーチャルコンソール【Wii】2012年12月18日/926ポイントアーケードアーカイブス【Switch】2017年5月25日/823円(税8%込) 判定 なし ポイント 意欲作だがどこかが地味主人公交代ストライカーマッチで1チーム4人制に対戦バランスに難点再発。一方で演出・BGMは好評 THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 ストーリー 特徴・システムなど キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 対戦バランス、システム面 その他の問題点 総評 家庭用移植 余談 概要 『餓狼伝説』や『龍虎の拳』といった、SNKの人気タイトルのキャラクターがプレイヤーキャラクターとして参戦するドリームマッチ対戦格闘ゲームKOFシリーズの第六作目。 ただし、前年の『KOF 98』がストーリーの無いドリームマッチだったため、オープニングでは「EPISODE 5」と書かれている。 オロチ編完結後の新たなストーリーを描く、ネスツ編第一章。これに伴い、作中を取り巻く雰囲気も全体的に大きく変貌した。 主人公は本作の新キャラクターの1人であり、草薙京の炎を操る能力を移植された青年・K (ケイダッシュ)に変更。前作までの主人公である草薙京や八神庵は本作では一時的に姿を消していた。 なお、京は本作から学ラン風の衣装を卒業し、スタイリッシュな私服姿に変わっている。(*1) 背景に待ちキャラクターがいたが今回から削除された(援護攻撃も廃止された)。ただし次のキャラクターが画面外から登場するのはそのまま。 ストーリー キング・オブ・ファイターズを開催する 対戦形式は3対3。ただし今大会は"ストライカーマッチ"を採用する… 世界各地の格闘家たちへ届けられる、キング・オブ・ファイターズへの招待状。だが今回はいつもとは様子が違っていた。招待者の周りで、前大会のような世界規模の盛り上がりを見せる気配が一向にないのだ。不審に思う格闘家たちに、さらに輪をかけて、対戦形式にも新しいルール規定"ストライカーマッチ"が…。聞き慣れない対戦形式に、格闘家たちはとまどいを隠せずにいた。 大会にキナ臭いものを感じたハイデルンは、ラルフたちを送り込み、大会開催の真相究明に乗り出す。 一方、二階堂紅丸も招待選手で結成されたスペシャルチームの一員として、KOFに招かれる。あらかじめ記されたチームメイトの名前にはK′(ケイ・ダッシュ)とマキシマという名前のみ。格闘界では見たこともない名前に紅丸は困惑し、釈然としないまま開催地へ向かう。 やはり今度の大会には何か裏があるのか? 様々な謎をはらみつつ…今年もまた、キング・オブ・ファイターズが幕を開ける。 『 97』のラストで行方不明になった京はネスツという組織に捕獲されており、そこで草薙の炎の解析を受けクローンを作られてしまう。新主人公のK はその際、京の炎を移植された別人のネスツ工作員であった…というあらすじ。 日本神話がモチーフとなった神秘的な前シリーズ「オロチ編」とはうって変わり、K を主人公とする今シリーズ「ネスツ編」はSFサイバー系の物語として展開される。そして本作は明確に「地味」な雰囲気を体現した作風になっているが、これは多くのプレイヤーに受け入れられたとは言い難いものだった。 特徴・システムなど 3on3の勝ち抜き戦方式(ラウンド制)でどちらかのチームが全滅するまで試合を行い、ラウンドごとに勝利側は残り時間に比例して体力が少し回復。…ここまでは同じ。 4人目に選択するキャラクター「ストライカー」 『MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES』のようなアシスト、もしくは今まで存在した援護攻撃を発展させたような新システム。画面下のストライカーボムがある限り使用可能。使用時には画面が一時暗転する。 ストライカーは攻撃系は突進やつかみ攻撃等で、中にはヒット後追撃が可能なものもある。 攻撃系以外には、体力やパワーゲージを回復させる援護系もあり、中には相手のパワーゲージを減少させるものもある。 ストライカー呼び出し動作はBC同時押しで発動するが、若干の無敵はあるものの基本的には無防備で、技のモーション中や食らい中には呼び出せない。ただし、呼び出し動作中に攻撃を受けるとストライカーがガード不能になる現象があり、これを利用した連携も存在する。 ストライカー呼び出しに必要なコストであるストライカーボムは、メンバーが一人負けて後続メンバーが登場するたびに1個ずつ追加・回復されていくが、本作では能動的に溜める手段は一切存在せず、時間経過で回復することもない。そのため、一試合中にストライカーを呼び出せる回数は合わせて5回までに限られている(=ストライカーボムの所持数は最初に3個+2人目に追加1個+3人目に追加1個)。 引き続きストライカーシステムを導入した続編『2000』と『2001』はそれぞれ、前者はパワーゲージ1本をストライカーボムに1個に変換可能に、後者はストライカー呼び出しに必要なコストをパワーゲージにすることで、能動的にストライカー呼び出し回数を増やせるようになった(しかしそれがバランス崩壊を招いてしまった一因にもなったのだが....)。 このシステムが搭載されたことで、バトル自体は3on3だがチームが4人構成に変更。 この4人チーム制はネスツ編完結の『2001』まで続くことになる。 なお、従来どおりの1対1ラウンド制のシングル戦も存在する(アーケード版では基板設定変更が必要)が、こちらもメインとストライカーの2人を選ぶ形式に変更されている。 さすがに試合中の交代こそできないが、各試合ごとにメインキャラクターとストライカーを切り替えることが可能。 緊急回避動作(前転・後転)は「かわし移動」に置き換えとなっている。 「前かわし」は前転に近いが、見た目は前作までのエキストラモード準拠のシステムにあった攻撃避けに前方移動を追加した感じ。それに倣ってか「攻撃避けからのカウンター攻撃」と似たように、動作中にボタン入力で「かわし攻撃」を出すことが可能。カウンターモードではそこからさらに必殺技などでキャンセル可能。アーマーモードではヒット時に相手を浮かせられるようになるが、アーマーモード使用側もかわし攻撃をガードすると削りダメージを喰らい、ヒット時は喰らい判定を残した状態で吹き飛ばされるデメリットを背負ってしまう。 「後かわし」はバックステップしてすぐにフロントステップ(前作までのエキストラモード準拠のシステムにあったものに近い)で元の位置に戻る動作。バックステップで着地した時に地上で出せる必殺技、フロントステップで飛んでいる最中に空中で出せる技で、それぞれ動作をキャンセルできるが、はっきりいって使いにくい。 ガードキャンセル緊急回避のみ、これまで同様の前転・後転。この作品以降はマキシマムインパクトシリーズを除いて投げられ判定も無くなっている。 ガードキャンセルふっとばし攻撃は前作で止めに使うという露骨なプレイが横行したためか、与えるダメージが無くなった。ちなみにアンディとクラークのみ必殺技でキャンセル可能。 パワーMAX状態に変わって追加された新モード「カウンターモード・アーマーモード」 カウンターモード ゲージMAX時(ゲージ3本)にABC同時で発動。従来のMAXモードを大幅強化したような感覚。 一定時間攻撃力が上がり、かわし移動攻撃がキャンセル可能に。 さらに効果時間中は超必殺技が連発可能になり、必殺技→超必殺技へとつなぐスーパーキャンセルも可能となる。 ただし初期作品のように暗転がなくなるため、一部の超必殺技は発生スピードが変化する(速くなる物も有れば、逆に遅くなる物もある)。 また、残り体力に関係なくMAX超必殺技は出せない。後述のように本作ではMAX版が体力に依存するため、体力点滅時に通常の超必殺技を使える唯一の手段。 ヒットバックが大きくなってガードキャンセル不能になる。また終了時はオーバーヒート状態に入ってパワーゲージが消失し、しばらくの間ゲージを溜めることができなくなる。 アーマーモード ゲージMAX時にBCD同時で発動。KOFでは比較的珍しい防御強化システム。 一定時間防御力が上がり、大抵の打撃に仰け反らないスーパーアーマー効果を得る。さらに必殺技の削りダメージも無効化する。 かわし移動攻撃で相手を浮かせることができるようになり、コンボの起点に使える。ただしアーマーモード使用側もかわし移動攻撃が弱点となり、ヒットするとふっ飛ばされ、ガード時にも体力を削られる。 超必殺技が一切出せなくなる。 ヒットバックが大きくなってガードキャンセル不能になる点、終了後はしばらくオーバーヒート状態でゲージを溜められなくなるのはカウンターモードと同じ。 超必殺技の変更点 カウンターモード・アーマーモードはMAX超必殺技に関与しないため、超必殺技の分岐は完全に体力に依存するようになった。 通常はノーマル超必殺技のみ、体力赤点滅時はMAX超必殺技のみしか使用できない(消費ゲージが1本だけなのは変わらない)。 前述のようにカウンターモード発動中は残り体力に関係なくノーマル超必殺技が出し放題。 また、本作はストックしたパワーゲージを次のキャラクターに引き継ぐことも一切出来ない(ラウンドを落とすと溜めたゲージは必ず全て失ってしまう)。加えて前作『 98』と異なり負けて残り人数が減っても最大ゲージストック数が増えたりしない(受け継げないのに最大ストック数だけが増えても困るだけだが)。 代わりに、『 97』以降のアドヴァンストゲージシステムを敷いているシリーズの中ではゲージが溜まる速度は早め。また、ゲージと異なり、残ったストライカーボムは後続メンバーに受け継がれ、さらに1個追加される。 空中ガードのシステムが廃止された。 前述の通り、背景に待ちキャラが登場しなくなったため、気絶時やつかみ技を喰らっている時の援護攻撃も無くなった。 つかみ技(ジョー・ヒガシの膝地獄など)が投げ技はずしされない点は変更は無い。なのでつかみ技はコマンド投げ感覚で使えるようになった。 CPU戦の得点もこれまでの一般的な加算式のスコアではなく、「バトルアビリティー」と呼ばれる、試合ごとに試合内容を評価してポイントが決まる、『餓狼伝説シリーズ』後期のファイティングレベルに似た独特のものとなり、続編の『2000』まで使用された。 そしてデフォルトチームでプレイした場合、このバトルアビリティーが一定値を超えていれば、ラスボスを倒した後に隠しボス(本作では草薙京または八神庵)と対戦することが出来る。 前作で導入されたコンティニューサービスも続投したが、ルーレット式だった前作から各種ボタンに割り振られた項目を選択する方式になった。 キャラクター 前述の通りシリーズ初の主人公変更が行われ、また4人チームになったことからチーム編成にもそれなりの変更が行われた。 太字は新キャラクター。※は再登場キャラクター。 主人公チーム K マキシマ 二階堂紅丸 矢吹真吾 餓狼伝説チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ 不知火舞 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア ユリ・サカザキ タクマ・サカザキ 怒チーム レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル ウィップ サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 包 韓国チーム キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ ジョン・フーン 女性格闘家チーム キング ブルー・マリー 藤堂香澄 ※ 李香緋 エディット専用 草薙京-1 草薙京-2 隠しキャラクター(家庭用版では無条件出現) 草薙京 八神庵 最終ボス クリザリッド (第一・第二形態が存在、第二だけ一部家庭用のみ使用可) メンバーが4人になった関係で餓狼チームと龍虎チームはいつものメンツに元他チームからの既存キャラが合流し、怒チーム、サイコソルジャーチーム、キムチームには完全新キャラクターが加入した。残る主人公チームや女性格闘家チームはメンバーの半数が新規または再参戦であり、完全新規客演は『リアルバウト餓狼伝説2』の李香緋のみである。 エディット専用キャラクターは草薙京のクローン2人。1が波動昇竜型の『 95』ベース、2がラッシュ型の『 98』ベースとして登場している。 前主人公の草薙京とライバルの八神庵は上記のクローン京2人からも更に性能変化しているが、今回は二人とも隠しボス扱いで、MVSの設定と隠しコマンドによってプレイアブル解禁されていた(*2)。 エディット専用キャラクターの構成については「KOF新章」という意味合いが強く表れている。当初は京と庵を作中に全く登場させないことが予定されていた模様だが、2人共KOFの顔とも言うべきキャラクターで、ファンからの相当な人気もあり反発を招きかねないという商業的な判断から、結局エディット専用兼隠しボスとしてでも出さざるを得なくなったのだそうな。また、クローンの京-1・2についても、旧来の衣装の京もやはり出したいということで、性能も2種類選べるようにして急遽追加されたキャラクターであるとのこと。 この辺りはカプコンの『ストリートファイターIII』シリーズに通じるものがある。 ラスボスはネスツ幹部のクリザリッド。PS・DC版ではプレイヤーも使用可能だが、お手軽に永久が出来る等はっきりいってバランス崩壊性能。CPUが使ってこないのが救いか。 評価点 BGMの出来の良さ。 ほとんどのチームBGMの出来は歴代でもトップレベルに数えられる。中でも主人公チームの「KD-0079」、草薙京の「tears」は非常に評判が高い。後のKOFでも、たくさんのアレンジバージョンを生み出し採用され続けた。 オリジナル曲が中心だが、餓狼伝説チームのテーマ「176th Street」は『餓狼伝説 WILD AMBITION』の「11th Street」のアレンジになっている。 背景のドット絵も非常に凝っている。CPU戦の演出も非常に良好。 これだけは本当に非の打ち所がないと無いと言っても過言では無い。新しいKOFの世界を描き切るための第一作としては文句なしのクオリティ。DC版の背景はより非常に凝っている。 特筆すべきはステージ5(ボス戦手前)の用水路ステージ。ROUND3に入ると、途中でエレベーターが作動し降下しだすという従来には見られなかった演出は今でも色あせない。 セレクト画面や勝利時のグラフィックはアニメ風になり、総じて出来が良く、本来のキャライメージを損なわない仕上がりとなっている。 賛否両論点 作風の方向転換 神秘的要素も強かったオロチ編からSF要素の強いネスツ編への変化や、それに伴う主人公の変更にはやはりファンの間でも評価が分かれた。 肝心の新主人公・K はぶっきらぼうな性格・設定の複雑さ・性能の微妙さ・外見が『 97』のラスボスのオロチに似ていることなどから本作の時点では評価が低く、プレイヤーに受け入れられたとは言いにくい存在になっている。草薙京の人気が非常に高かったこともあり、主人公が変更されたことに対してのファンの複雑な心境もあったようだ。とはいえ、人気がないわけではなく、シリーズを経るごとに人気は出て行き、ネスツ編が終わる頃には『2000』に登場したとあるライバルキャラも含め人気キャラとなった。 本作でもう6作目ということでマンネリ気味だった事もあり、心機一転したことを評価する声もある一方、KOFらしさがなくなったという声も多かった。 問題点 対戦バランス、システム面 システムの複雑化 目玉のストライカーシステムは召喚時にいちいち止まってテンポが悪くなる、強いストライカーから弱いストライカーまでの差も大きい(*3)ので結局は強いストライカーを選べばいい、『MVC』の模倣、などの要因でいまいちパッとしなかった。 上にあげたカウンターモードやアーマーモードは使用ゲージの多さから使いどころの見極めが困難な上、効果も複雑。蛇足という印象を拭えなかった(一部のキャラクターは凄い恩恵を受けられるのだが)。カウンター、アーマーモードでそれぞれ発動時のポーズが違うなど、結構凝ってはいるが…。 ゲージや超必殺技周りも幾つかが前作とは異なる仕様に変更されたが、これにも戸惑いの声が多い。 特に体力が点滅域に入ると、カウンターモード中でない限り強制的にMAX超必殺技しか発動できなくなる点は不評。というのは従来と同様に威力こそノーマル超必殺技より大幅に跳ね上がるものの、発生がノーマル版より遅くなるデメリットが追加されるものも割とあるため、同じ用途や感覚で使用できなくなるという理由が挙げられる。点滅していてかつゲージ消費でMAX超必殺技が出る点は恐らく前作までにあったエキストラモード(準拠)のゲージにおける仕様の名残だと思われるが、あちらは体力点滅中でもゲージを持っていない状態であればノーマル版超必殺技を使用する手段は残されていた。次回作以降は作品ごとに細かい条件の違いはあれど、基本的に消費ゲージをノーマル版とMAX版とで分ける形で(後者の方が消費量が多い)、現在の体力量に左右されず、ノーマル版とMAX版を任意に使い分けることができる方向性に戻っている。 また本作はゲージを負けたメンバーから一切引き継げない。代わりに溜まる速度こそシリーズ中で早めであるものの、ゲージを溜める役(先鋒)と使う役(大将)に分けるメンバー采配もチーム戦を敷いているKOFの特徴であったため、この点も不評であった。次回作以降はゲージを後続メンバーに引き継げる仕様に戻っている。 かわし移動も特に後かわしが不評。『2000』で緊急回避に戻され、1作限りのシステムとなってしまった。 というより、「無敵になりつつ前進した後にボタン追加入力で攻撃ができる」システムはモロに『堕落天使 -The Fallen Angels-』の「エスケープダッシュ」である。元スタッフが関わっているからといって安直に似たシステム(しかもKOFでは不評)を導入するのはどうなのか…。一応、このシリーズでも、前作までのエキストラモード(準拠のシステム)には無敵になれる攻撃避けとそこからの追加でカウンター攻撃が出せるシステムが存在しており、本作はエキストラモードが廃止され主にアドバンストモード準拠に統一された為、その名残で入れた可能性も高い。加えて後かわしでは、(リメイクを除く)本作以降の本編シリーズにおいて、同じくエキストラモードに存在していたフロントステップを見ることができる唯一の例となっている。 前作『 98』は『 97』のシステムを昇華させた決定版のようなつくりだったため、こうした粗さが目立ってしまっている。 問題が再発した対戦(主にキャラ)バランス 前作『 98』は、それまでの過去作で何かと対戦バランスに問題点がつきものであった件への反省と積み重ねの甲斐もあって、KOFシリーズ最高峰であり、対戦格闘ゲーム全体として見ても高水準の対戦バランスと完成度を誇っていたが、本作では前述したようにシステムが複雑化したことに加えて、多くのキャラの技構成も変更されたにもかかわらず相変わらず開発期間がたった一年しかなかったせいか、難点が再発してしまっている。主に一部のキャラの技の調整に問題点が目立つ。ちなみに下記の問題点のほとんどは、ドリームキャスト/Windows移植版『 99 EVOLUTION』にて修正されている。 特にバランスを破壊している技として挙がるのは、椎拳崇の龍連打。 龍連打 龍連打 が連続ガードになるためガードキャンセルをしない限り抜け出す方法が無く、一生削り続けられる(ガーキャンしない限り実質永久ガード)。龍連打 立ちCor立ちD 龍連打も連続ガードになり、これだとガード耐久値まで削られるので、ゲージを持っていない場合、ガーキャン用のパワーゲージを待たずにガードクラッシュを起こしてしまう。この問題点はDC/Win版でも修正されていない。 また、浮かせた相手に強穿弓腿の2段目だけを当てると追撃可能なまま落ちてくるので、もう一度穿弓腿の2段目だけを当てるとそれだけで永久連続技が完成する。画面端限定という条件はあるのだが、前述の通り、拳崇には龍連打という前進して相手を押し込みながら一方的に永久ガード状態にさせた末に、連続(永久)ガードを維持できる通常技も挟めば相手のガードクラッシュを誘発させるバランス崩壊連係があるので……。本作(と次回作『2000』)の拳崇はストーリー上で超能力を失ってしまっており、それに合わせて性能と技構成も大幅に変更が行われているのだが(拳法オンリーに変更)、その結果がこのバランス崩壊を招くとは皮肉なものである。「超能力なんて最初から要らんかったんや!!」一応、穿弓腿による永久はDC/Win版だけでなくネオジオCD版以降の家庭用移植版の時点でも対策が入り、出来なくなってはいる。 もう一つ代表的なのがチョイ・ボンゲの特殊技の骸突き(*4)。ガードすると強制的にガードクラッシュを誘発し、キャンセル鳳凰脚(MAX版・カウンターモード時除く)が確定する(*5)。しかも通常技をキャンセルして骸突きに繋ぐことができるため、しゃがみ強Pから出されると前段階でガードキャンセルしない限り回避できない。 幸い、チョイはメインの逃げの立ち回り中に同時にゲージ回収も行いやすいキャラではあるのだが、鳳凰脚以外に地上で溜め無しでいつでも出せて連続技にできる(超)必殺技がない(*6)上に、鳳凰脚もゲージが要る超必殺技でありしかもMAX版とカウンターモード中の発動は発生が遅いせいで繋げず、本作は体力が点滅する域に減ると強制的にMAX版しか出せなくなる仕様に加えて、本作はゲージを負けたメンバーから受け継げない仕様でもあるので、狙える状況が限られるのがせめてもの救いである。 レオナのイヤリング爆弾2・ハートアタックもヒットさせると相手がレオナの技をガード出来なくなる。さらなる追撃で大ダメージが取れる上、この技自体がキャンセルで連続技に組み込めるため強力すぎる技だった。 ウィップのジャンプ強Pは打点を極端に低くすると「中段判定+下段判定」という扱いになり、事実上ガード不能になる。 代わりに?、ウィップは何故かかわし移動の無敵時間が他キャラより明らかに短く、飛び道具すらまともに抜けられない。また、K のかわし移動も同様に無敵時間が明らかに短く使いにくい。例えるならこの2人だけ『 96』の緊急回避準拠に戻されたと言った感じである。 逆に、前作から弱体化されたキャラは弱体化の原因が露骨なものが多い。加えて前作でキャラランクがそこまで高い方でなかったキャラがそのような例に該当していたりする。 例えば、リョウは牽制技に使えた遠距離立ちBがスピードが低下し硬直も長くなったため使い物にならなくなり、さらにMAX版天地覇煌拳で一撃気絶を狙えなくなり、龍虎乱舞と覇王翔吼拳がキャンセルで繋がらなくなり極限流連舞拳も削除されてしまったため攻めのバリエーションや攻撃力が大幅に減ってしまった。加えてリョウはダウン前の吹き飛ぶ最中に喰らい判定が残ったままであり、一部キャラから専用の連続技を貰ってしまう。しかもキングとレオナからに至っては対リョウ限定の永久コンボまで貰ってしまう。 アテナも前作でダメージソースとなっていたコマンド投げのスーパーサイキックスルーが削除されてしまい、その代わり(?)に追加されたサイコシュートもヒット後追撃可能な飛び道具だが発生が遅いうえ硬直も長すぎて使いにくいと、あからさまに弱体化されてしまった。 庵は隠しキャラ扱いとなったが、しゃがみAや遠距離立ちCがキャンセル不可になり、鬼焼きや八稚女も無敵時間が殆ど無くなるなど弱体化を受けている。 新キャラであり新主人公のK’もかなり弱い。先程のウィップの説明で記したようにかわし移動が他キャラよりかなり使いにくく、加えてどの技も最初から下方修正で作られたのではないかと疑うほどに弱い(アイントリガーが弱強どちらも発生が遅く(*7)、対空のはずのクロウバイツも満足に無敵がないせいで対空として機能しない、など)。 今作で急激な変化を開発期間たった1年で行ってしまったせいなのか、以上のように再びバランス面に問題点が生じてしまったこともあってか、以降はシステムの大部分は無難な『 98』をベースに戻していく方向性となる。 一方でストライカー関連など、意欲的な変化や変更も所々で行う方向性も続くが、やはり試行錯誤がしばらく続いていくことにもなった。 その他の問題点 大幅なキャラクターのリストラ ストーリー上仕方ないとはいえ、オロチ編の主要キャラクターだった神楽ちづるや固定ファンの多い山崎、ビリーが居なくなった点は少なからず批判の対象となった。 大門五郎の不参加に関しては『 97』でのストーリーもあるが、「どう調整しても強キャラになってしまうため、最終手段として」という理由でもあった。 しかしそれだけではなくシェルミー、バイス、乾いた大地の社(*8)と名だたる投げキャラが軒並み姿を消し(*9)、本作で純粋な投げキャラと呼べるのはクラーク一人だけになった(*10)。 なお、大門は後に2001で復帰するのだが、相変わらず強キャラ傾向にあったことには変わりなく、その極北がデュオロンとともに猛威を振るったこれである。 ちなみに続編『2000』では、新たなKOFオリジナルの新規の投げキャラとしてラモンが登場している。しかし他作品からの客演キャラを含めてネスツ編から新規参戦した投げキャラは彼ただ一人だけに終わっている。 アーケード版では過去作人気キャラの京と庵が隠しキャラかつ出現条件が面倒だったというのも災いした。一応京はコンパチの京-1・京-2が最初から選べるものの、明確に偽物であり性能的にも劣っている。 細部に見られる作りこみの甘さ 下記の各キャラにおける細かい難点のほとんどは、DC/Win移植版『 99 EVO』にて修正されている。 ジョン・フーンだけは何故かガードクラッシュののけぞりが全身無敵になっている。前述の骸突きキャンセル鳳凰脚も入らない。加えてジョンはストライカー呼び出し動作も全身無敵(他のキャラはキャラにもよるが足元のみ~胸から下まで無敵)なので、あからさまに贔屓されているとも言われる。 香澄の挑発モーションにも何故か全身無敵時間がある。対戦に差し支えがないレベルではあるが。 レオナは、対リョウとユリと紅丸限定で、本作から新しく追加された超必殺技グレイトフルデッドを決めると、何故かダメージが前述の3人以外のキャラに決めた時よりも異常なほど跳ね上がる。 ウィップのC投げと香澄のD投げは、つかみ技ではない通常投げであるにもかかわらず投げ技外しが不可能。 李香緋はダウン回避に無敵時間が存在しないため、ダウン回避に技を重ねられると無条件で喰らってしまい、連続ヒット扱いになってしまう。 クラークの超必殺技ランニングスリーとストライカーのマリーを同時にヒットさせると、バグったような動きになりダメージが激増するという謎現象が起こる。 香澄はきりもみ吹っ飛びに喰らい判定が存在するため、チョイの真!超絶竜巻真空斬(通常版。MAX版は元々多段ヒット技)が多段ヒットする他、K からヒートドライブを絡めた対香澄限定の即死コンボを喰らってしまう。 何故かCPU戦で登場する龍虎キャラ(特にリョウ、ロバート、キング、香澄)は他のキャラに比べて明らかにアルゴリズムが強めに設定されている。逆にCPUクラークにいたっては、全キャラ共通で空中ふっとばし攻撃を出すだけで倒せてしまうなど、相変わらずCPUの強さにかなりムラがある。 コンティニューサービスは任意選択式に改良されたものの、ラスボス戦では第1形態のみの適用になっている点から結局コンティニュー時も通常とほぼ同じ条件でラスボスを倒さなければならず、入門プレーヤーはEDすら見られない有様に。 またしても短くなったキャラクター選択画面の制限時間 『 98』ではモード+3人で31秒だったが、本作では選ぶキャラの数が1人増えたにもかかわらず、24秒に短縮されてしまった(*11)。 1人当たりの制限時間は6秒で、これは『 97』ですぐにモードを決めた場合と同じくらいである。 総評 BGMや背景のドットは相変わらず至高のレベルであり、上に挙げた龍連打や穿弓腿、骸突きを封印すれば特にバランスも悪いわけではないのだが、 偉大すぎた前作や前シリーズとの落差が強く感じられてしまった作品である。 家庭用移植 オムニバスソフトはSNKプレイモア(2016年にSNKに改名)、それ以前のソフトはWindows版を除けば旧SNKが発売元である。 共通して京と庵は最初から無条件で出現している。クリザリッドは第一形態は全て使用不可、第二形態は一部移植版でのみ使用可能。 家庭用ネオジオROM版(1999年9月23日発売) 京と庵が最初から出ている以外はMVS版と同等。ネオジオROM版はバーチャルコンソールで配信されていた。本作のROM版はKOF最後のWii VC配信タイトルでもある。 ネオジオCD版(1999年12月2日発売) 歴代のNCDソフトの中でも最悪クラスのロードの長さが大問題とされる、およそロードに30秒以上かかりテンポは最悪。また、本体の性能の関係か、一部のグラフィック(試合開始、終了時の「FIGHT」や「WINNER」など)が簡略化されており、完全移植ではない。NCD最後のリリースソフトでもある。 ギャラリーモードが追加されており、さらに特定の組み合わせでエディットチームを組むと専用のイラスト(モノクロ)が解禁される。 プレイステーション版(2000年3月23日発売) 流石に同時期の他機種に比べると移植度の面では劣るとされる。キャラクターのカラーエディットが可能。SNKが手がけたPS版最後のKOF移植でもある。 ネオジオCD版と同様のギャラリーモードがあり、前述の特殊エディットチームのイラストが全てカラー彩色されている。 条件を満たすとVSモードとトレーニングモード限定でクリザリッドが使用可能。 ドリームキャスト版(2000年3月30日発売) ゲームタイトルは『THE KING OF FIGHTERS 99 EVOLUTION』(通称『 99 EVO』)となっている。厳密にいえばアレンジ移植の類で、新規ストライカーとステージの追加や背景を3D化したものになっている。 本項で述べた多くの問題点の修正、ボスキャラクターのクリザリッドが全モードで最初から使用可能になりしゃがみ系モーションが追加されている、各種セレクト画面の背景や試合中のキャラ名表記を始めとした各種文字フォントの変更などの変更点もある。また続編『KOF2000』に先駆けてヴァネッサとセスがエキストラストライカーとして参戦している。加えて新規ストライカーが登場する新規オープニングムービーも新たに追加。 ステージについては新規ステージが追加され、3Dを活用した大胆な構図のカットイン演出が追加されるなど更に力が入った出来となっている。 セスとヴァネッサを除く新規ストライカーはネオジオポケット用ソフト『ザ・キング・オブ・ファイターズ バトルDEパラダイス』との連動で育成することが出来た(*12)。 これと連動させないと登場しないストライカーキャラクターが存在していたのだが、後にオンラインにて無料配信された。現在はSNK倒産に伴い配信終了。 上記の通り独自の追加要素が多い一方で、NCD/PS版に収録されていたギャラリーモードと特殊エディットチームでクリアした際のイラストが収録されていない。 1999年6月24日に前作『KOF 98』のDC版を発売する際、発売年に合わせて『THE KING OF FIGHTERS DREAM MATCH 1999』と改題していたため、DCには『KOF(19)99』の名を含むタイトルのソフトが2種類存在するという少々紛らわしい状況であったが、その影響か、2001年の『KOF 99 EVO』廉価版(*13)発売時に中身を間違えて前作『 98』の移植である『DREAM MATCH 1999』をプレスしてしまうというミスをやらかし店頭分即日回収・発売延期された事がある。 ただし完全には回収できなかったためか、プレスミス品の一部が市場に出回っていた(参照)。 似たような事例がPSPでも起きたことがあり、2012年7月12日に発売された『コーエーテクモ定番シリーズ 三國志VIII』では、製造ミスにより前作である『三國志VII』をプレスしてしまった。 余談だが、今作の追加ストライカーには草薙京の別衣装バージョンが含まれており、既存の京、京-1、京-2と合わせて京チームを組むことができた。 周辺機器のVGAボックス(VGAケーブル)には残念ながら非対応(*14)。ただしセガ非公式品しかないがRGB21ピンケーブルには対応している。 Windows98版(2000年12月22日発売) DC版と同タイトルの『 99 EVOLUTION』で、それをベースにした移植である。発売元はサイバーフロント。エキストラストライカーはDC版同様に溜めたAPで購入して解禁するが、連動要素が使えないため連動隠しストライカーは最初から出ている他、初めから全てのストライカーのレベルがMAXになっている。 「アケアカNEOGEO」にてSwitch、PS4、Xbox One、Windows10にも配信されている。 こちらはアーケード(MVS)版ベースのため、京と庵の出現には隠しコマンド入力が必要。ちなみに隠しコマンド受付に必要な手順は、オプションから設定することにより、省略・解禁することも可能。 オムニバスソフト ネオジオ オンラインコレクション ザ・キング・オブ・ファイターズ -ネスツ編-(プレイステーション2、2007年4月19日発売) 『2000』『2001』と共に収録されている。また、3作共に家庭用ネオジオ基準版とDC版(本作は『 99 EVO)の2バージョンの収録(実質6バージョン収録)となっている。本作収録の『EVO』は前述の新規ストライカーが無条件で最初から全て使用可能となっており、初めからレベルMAXとなっている。ただし、音質がDC版よりやや低下している。またネオジオ基準版はボタンコンフィグの設定も一切行えないため、あくまでもオマケという位置付けになっている。 PS版と違い、DC版ベースのため特殊エディットチームのエンディングイラストやギャラリーモードは未収録。 この他にも本作の背景を使用した作品『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』(実際のシステムは『2000』ベース)があるのだが…。 余談 日本版にサブタイトルは無いが、海外版では「Millennium Battle」というサブタイトルが付けられている。 韓国チームの新キャラクターであるジョン・フーンのモデルはSNKが過去に関わったゲームのとあるキャラクターだったりする。 必殺技の名前もそのゲームの「必勝技」に由来したものばかり。 他にも舞の特殊技やタクマの垂直ジャンプ強キックなど、そのゲームの通常技によく似たモーションが多いのも特徴。 超能力を失った拳崇みたいに大幅な性能変更が施されたキャラとしては他にも、ロバート・ガルシアの必殺技が何故か全部溜めコマンドに変更され、おまけに龍虎外伝のサマーや龍撃拳の型などカプコン側の軍人を彷彿とさせる構成になった。これは『2000』まで続くこととなる。 なおロバートと拳崇はどちらも奇しくも関西弁キャラである。 タクマ・サカザキの勝利ポーズや新必殺技の「三戦(サンチン)の型」など、『グラップラー刃牙』の愚地独歩のパロティと思しき要素が盛り込まれている。 なお三戦の型は攻撃判定を持たずパワーゲージを溜めるという、言わば『98』のエキストラモードのパワー溜めに近い技なのだが、ほとんど溜まらない上に隙だらけという死に技となってしまっている(*15)。というよりも本作は普通に戦ってもパワーゲージが溜まりやすい仕様なので、ぶっちゃけ虎煌拳一発で同等のゲージが溜まるのだが…。 他、彩京の『堕落天使 -The Fallen Angels-』から本作の設定などの随所に強い影響を受けている部分が多く見られることもあり、俎上に上げられることも多い。 試合中に表記されるキャラ名のフォントは『 95』以降は斜体が伝統となっていたが、その使用は本作で最後となった(*16)。 餓狼チームとサイコソルジャーチームのみ、特定の条件を満たすことで隠しエンディングを見ることが出来る(*17)。 クローンの京-1・京-2は長らく本作が使用できる唯一の作品だったが、後に2009年発売のリメイク『THE KING OF FIGHTERS 2002 UNLIMITED MATCH』で再登場となった(*18)。
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THE KING OF FIGHTERS XII 概要 特徴・システムなど 評価点 問題点 その他 総評 その後の展開 移植版 特徴(移植版) THE KING OF FIGHTERS XII 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず とぅえるぶ】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 アーケード(Taito Type X2) 販売元・開発元 SNKプレイモア 稼動開始日 2009年4月10日 判定 シリーズファンから不評 ポイント KOF RE・BIRTH十数年ぶりにドット絵をフルモデルチェンジグラフィックの美麗さは特筆に価するしかしそれ以外の全ての要素がその犠牲にどう見ても未完成品ライバルなど、いない(悪い意味で) THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 『KOF』シリーズの第12作。前作『KOF XI』から4年ぶりの新作。 前作で「『KOF』シリーズは年に1作ずつ」という伝統が崩れたが、今作ではさらに間が空いている(前作は2年ぶり)。主たる理由は後述。 『 98』『2002』の様に特にストーリーが存在しないドリームマッチ系のタイトルとなっている(*1)。 また、使用基板も前作で使われていたATOMISWAVEの終了に伴い、タイトーのWindowsベース互換基板である「Taito Type X2」に移行している。 久々の新作であったことと「刷新された美麗なグラフィック」という謳い文句を売りにしたことも手伝ってファンからの期待は非常に大きかったが、肝心の内容がグラフィック以外極めて不出来だったため、大きな不興を買うこととなってしまった。 特徴・システムなど 全てのキャラドットを新規に書き下ろし。それに伴い技の構成が変わったキャラも多い。 マルチシフトが廃止され、シリーズ伝統の3on3で一人ずつ戦うラウンド制チームバトルに戻った。 その一方で本作ではデフォルトチームは存在しておらず、各キャラクターが個別にバラバラで参戦している。 過去にも外伝作『熱闘KOF』や『MAXIMUM IMPACT REGULATION"A"』で同様のバラバラ参戦はあったが、シリーズ本編では初の事態だった。 前作までの特徴だった試合中に交代するマルチシフト制は廃止され、超必殺技に使用するゲージも一本のみになるなど、全体的にシンプルな代物となっている。 + 出場キャラクター アッシュ・クリムゾン デュオロン シェン・ウー 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 八神庵 テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ キム ライデン(『KOF』初参戦) リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル レオナ・ハイデルン 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 家庭用追加キャラクター エリザベート・ブラントルシュ マチュア 本作特有の(他作では採用されていない)システムは大きく3つ。 「クリティカルカウンター」 体力ゲージ下にクリティカルカウンターゲージが存在し、攻撃を当てる/くらうで増加。MAXになると一定時間キャラが光り、その時に近距離強攻撃をカウンターヒットさせると発動。この間、スローになった相手に対し、数秒間こちらが一方的に攻撃を当てられる。この時、相手はやられ状態が長く続き、かつ自分は自動で前に進んでくれるため、いろいろな技が簡単にコンボとして繋がってゆく。大元はCAPCOM製格ゲーのオリジナルコンボに近いシステムで、それに同社の『サムライスピリッツ零』及びそれのバージョンアップ版『零SPECIAL』にあった「無の境地」の要素を少し足した感じ(*2)。また、発動後すぐに超必殺技を使うと演出が少し変わり、威力も大幅にアップする(*3)。本作の逆転要素。 「相殺」 強攻撃、必殺技、超必殺技が同時にぶつかると地上でも空中でも発生。この後お互いが何も操作しないと自動でバックステップをして距離を取る。このバックステップはほとんどの動作でキャンセルすることができるため、そこに読み合いが発生する。相手の飛び道具に対しても相殺ができ、相殺→ダッシュで一気に距離をつめる、という芸当も。 「ガードアタック」 レバー後ろ+CD(*4)で使用可能。コマンド入力するとガードモーションを取り、相手の攻撃を受け止めるか一定時間経つとふっとばし攻撃を行う。 いわゆる「当て身返し攻撃」に相当。先読みで使うものであり、相手の攻撃を普通にガードしてからの移行は出来ない。ガード判定は全身に出るものの投げには無防備な上、攻撃部分がガードやすかると反撃を貰う程度の隙がある。前作までにあった「ガードキャンセルふっとばし攻撃」をゲージを使用しなくて済む分リスキーにしたような性能。 それ以外の点。 パワーゲージは最大1本で、使い道は超必殺技のみ。今作では上記のガードアタックとの兼ね合いか、GCふっとばし攻撃もGC緊急回避も廃止されている。 ふっとばし攻撃がコンボに組み込め、更に溜めることが可能。最大まで溜めると強制ガードクラッシュになる。 投げのコマンドがボタン2つ同時押しになった一方で投げ抜けが廃止された。KOFどころか近年の格ゲーとしては不可解な仕様。 通常技の近距離・遠距離の自動使い分けが無くなり、強のみレバー入れで従来の遠距離版が出せる(*5)。 『龍虎の拳』や『サムライスピリッツ』のようにお互いが近づくと画面がズームになる。 などKOFの中でも本作独自の仕様が多い。 キャラの外見や技構成などは、おおむね「原点回帰」を意識したものが多い。 例えば草薙京はすっかりお馴染みの『KOF 96』からの派生技重視の技構成ではなく、『 95』以前のオールドスタイル。 また、麻宮アテナや椎拳崇は出典の『サイコソルジャー』を意識した衣装になった、という例もある。 例外は八神庵で、彼は前作『XI』のチームEDで炎を出すことが出来なくなった事を受け必殺技が爪で引き裂く技中心の物となった。 このためドリームマッチでありながら、何故か一人だけストーリーを踏襲している妙な事になっており、「作りかけの作品を資金調達のために体裁を整えて発売しただけでは?」という推測(「作りかけ」に関しては後述の「問題点」を参照)に信憑性をもたらした。 服装も変更されているが、登場以来ずっと同じ服装だったのを変更されたために、原点回帰しているとは言い難い。ファンの中には売れないホストのようだとの声もあるが… 評価点 美麗なグラフィック。 ドット自体はハイレゾ仕様でありフォーマット自体は一般的だが、ドットは業界最高峰の書き込み。スタッフがインタビューで自ら答えているように、甚大な手間と労力がかかっており、ゆえに稼動が遅れたとも。服のしわひとつ、筋肉の陰影ひとつまで描き込まれている。 製作工程の大まかな流れはWeb上で公開されており、1人で作業すると単純計算で1キャラに1年4カ月もかかるという(参照)。 かつてドット絵の雄として名高かった旧SNKの流れを汲むSNKプレイモアが、その意地を見せた形とも言えるであろう。 KOFシリーズは『 96』でドット絵を一新し、『XI』まで実に10年以上も使いまわされて来た。更に新キャラのドットも『 96』のドットが基準となっているために、最近の作品では「背景は3Dなのにキャラのドット絵が古臭い」と言われて来たのもあり、長年のジレンマを解消したと言える。 本作だけでしか聞けない郷里大輔氏のライデンの声。 本作で晴れてKOFに初参戦を果たした餓狼伝説シリーズのキャラクター、ライデンの声は人気声優の郷里大輔氏が担当。ライデンは次回作『XⅢ』にも続投したが、郷里氏が翌年に死去した為、声優が変更されている。そのため彼のライデンの声は本作だけでしか聞けない。 問題点 端的に言うとグラフィックにかかった膨大な手間によって犠牲になったボリュームである。とにかく、美麗なグラフィックを作るだけで力尽きてしまった感がある。 ドット製作の手間から来る「キャラクター数の少なさ」 プレイアブルキャラクターはアッシュ編主人公チームにおなじみの面子を加えた20人で、隠しキャラクターやボスキャラクターなどはなし。 詳細を言うと、『2003』主人公チーム、日本チーム、餓狼チーム、『 96』怒チーム、サイコソルジャーチームの面子に加え、庵、リョウ、ロバート、キム、ライデンを加えて20人。家庭用でエリザベートとマチュアが加わって22人。 これは前作のデフォルト33人+隠しキャラ5人+ボス専用2人と比べると一目瞭然。一作目の『KOF 94』よりも少ない(家庭用追加キャラを含めても)(*6)。 『KOF』シリーズは元々キャラ数の多さもウリなのに上記の様に人数ががくっと減っていることや、タクマや初代女性格闘家チームが未参戦で「量より質」とも言えないことなどを考えると、やはり寂しいものである。しかも下記のように他の部分でのボリュームの無さもそれを際立たせてしまっている。もっと言ってしまえば、10作以上も出ている本編で、一作目よりキャラの数が下回る事態となっているのだ。技の数が多いなど1キャラごとの密度が濃いならば理解できなくもないが、本作は各キャラの技数などの密度も作りかけとしか思えない薄さであった(後述)。 また本作からの新キャラクターも存在しないが、一応『餓狼伝説』シリーズのキャラであるライデン(ビッグベア)がKOF初参戦をしている(*7)。 技モーション製作の手間から来る「技の少なさ」 必殺技の多くが削られており、超必殺技に至ってはほとんどのキャラが1つのみと明らかに少ない。全体的に見て『 94』と同等の数と言ったところか。 例えばクラークは必殺技が3つだが、そのうち1つは必殺技中に追加で入力するものなので実質2つになっている。 技が多ければいいというわけではないが、取れる行動の数が近々の過去作に比して大幅に制限されるため面白みに欠ける。またこれも他の要素のボリュームがあって「技が少ない」だけであれば、シンプルなゲーム性を志したりリソースをあえて必殺技のモーションや調整以外に割り振ったものとして素直に見ることができるが、先程で記した通りそもそもプレイアブルキャラの時点でシリーズの平均数と一作目よりも下回っていることから解るように、すべての面でボリューム不足な本作では単に技の少なさ「も」力尽きた結果なのだとネガティブに捉えざるを得ない。 『 94』〜『 96』、『 97』と『 98』のエキストラモードがベースでないにもかかわらずゲージが順番問わずたった1本しかストックできないことも、ゲージを消費する行動が超必殺技だけになったとはいえ、派手さに欠けたり、幅が広がらない原因になってるせいで評判が良くない。 根本的な「"遊び"部分の少なさ」 プレストーリーこそあるが、まずストーリーなどは存在しないし、当然キャラ固有エンディングなどない。ボスキャラなども存在しない、近年ではよくあった乱入キャラなどももちろんない。挑発も登場演出もないし、勝利ポーズもひとつだけ。中間デモは一応あるが、単にニュース番組風の絵面が流れるだけ。 対戦ツールに特化した、といえば聞こえはいいが、やはり味気ないという意見が多かった。 ちなみに、このニュース番組は『 97』と同じ「Satella News Network」で、コメンテーター?として隠れ人気キャラである『龍虎外伝』の不破刃が登場する。 多くの要素を犠牲にしたグラフィック面に対する批判。かつての『KOF』シリーズでは、キャラクターのドットは基本的に写実的な描き方であまりデフォルメがきつくなく、そういう意味では「リアル」であった。しかし本作では極端に誇張されたキャラクターが何人かいる。 麻宮アテナは前作までから打って変わり非常に子供っぽい体形に。しかも足が少々太いため「ふとましくなった」という声も。これは先述の通り『サイコソルジャー』当時のキャラクターデザインの再現のため、原点回帰といえば原点回帰なのだが……。何故か、元気のあった表情もどこか困ったような顔付きに変わってしまっている。 この画風の変化については、メインイラストレーターのおぐらえいすけ氏が「上からの強い要望でこうなった」と説明しており、実際におぐら氏が描いた、旧デザインかつサイコソルジャー風アテナのイラストも公開されている。 ラルフ・ジョーンズとクラーク・スティルは従来から打って変わって極端に筋肉のついた体形に変貌し、腕の太さなど他キャラの胴ぐらいある。一応過去シリーズでもレオナが暴走した際に止められるべく鍛錬を積んでいるというストーリーがあったものの、肉弾戦を主体としたダイナミックな技を振るうラルフはともかく、クラークは「スマートな投げキャラ」という点が評価されている部分の一つだったため、ごつくなって「ありがちな投げキャラ」の見た目になったことは批判が強かった。 これら3人や大門など、旧作より太くなったキャラが多いことと(後述するが)背景に度を超えた肥満体型のデブモブキャラが多いことなどから、一部のユーザーからはアートディレクターのノナ氏(『KOF2001』や『KOF2002』のイラスト担当)の趣味ではないかとまで言われることもあったが、実際はこれも「上からの要望があった」との事。 また、以上の変化が「今作で急に切り替わった」という点も考慮に入れるべきである。新しい造形をそれ自体で許容できても、今まであったキャラクターへの愛着が否定されかねない変化、とも言えてしまう。このデフォルメのきつさは、ここまで極端でなくとも全体的な傾向。 似たような例だと、『2001』でアテナの髪型が急にベリーショートに変更された例があり、こちらも多くのファンから許容されたとは言い難い結果であった。 一方でデザインの変化がいい方向になったキャラもいる。 前述したとおり極端に衣装の変わった拳崇などは賛否両論と言ったところだが、構えをなくして皮肉屋な性格にマッチした立ち振る舞いとなったアッシュ・クリムゾンや、より軍人らしい衣装となったレオナ・ハイデルンなどはおおむね高評価。 ステージ背景のグラフィックにも苦言が目立つ。 特に指摘されたのが、所々キャラクターが背景と同化・陰や暗い所が邪魔をして極端に見づらい場所があるなどのプレイヤー視点の視認における調整不足が目立つ点。プレイにも支障をきたすせいで、無視できない点である。 他にも、ステージの背景にいるモブの人間の多くがデブ極度の肥満だったりと、明らかに極端すぎて、見栄えに華がないことも批判が集まった。『ぽっちゃりプリンセス』でやれ。 その他 格闘ゲームとして重要な要素であるキャラクタ間のバランスは、ネットで検索すれば個人がやり込んで決めた様な論評はいくつか見つかるが、評価が固まるほど掘り下げられていないので実際のところは不明。 家庭用の発売後も攻略関連は全く活気がなかったため、多くのプレイヤーからは「対戦を煮詰める理由を見出せないほど底が浅い」と受け取られたと捉えるべきだろう。 とりあえず、最強キャラは万能かつ高性能な京、最弱キャラは攻め手が少なく防御性能が最悪のクラークという声が多いようだ。 CPU戦について。 一戦目からかなり強い。 全体がタイムアタックになっている。タイムアタック形式はシリーズ唯一。 通常は5回戦勝ち抜くとエンディングだが、1回戦ごとに勝利後1回だけタイムを測り直せるリトライが可能。 前述したようにラスボスの類はなし。中間デモはきちんとあるものの、終始平穏なムードでニュースキャスターが淡々とレポートする調子である。 ある意味では、悪の組織などの陰謀が一切関わって来ることがなく平穏無事に本来の「格闘大会」としてのKOFが完遂された初の作品とも言える。 総評 美麗なドットグラフィックで2D格闘ゲームを作るという心意気自体は挑戦的である。 しかし、その一方で肝心のキャラドット以外の中身の部分がとかく寂しいものになってしまい、外観面に苦心するあまりに中身がなおざりになってしまったことが目に見える出来栄えとなってしまった。 稼働中には「ドットは以前のままでいいからボリューム面をなんとかして欲しい」という声も多かった。しかもほぼ同時期に『2002』のリメイク作『2002 UNLIMITED MATCH(2002UM)』も発売及び稼働開始しており、こちらは本作とは対照的に歴代最多数のキャラを始めとした豊富なボリュームと完成度を誇っていたこともあり、そちらと対比され、そちらへプレイヤーが流れるケースも多く見られた。 あまりもの酷さにキャッチコピーの「ライバルなど、いない」をもじって「ライバルなど、いない(悪い意味で)」など揶揄されてしまう始末。 当然、稼動後も掲示板などでは批判が続出してゲームセンターから早々に姿を消してしまい、とどめとばかりに海外大手ゲームサイトの「2009年最も期待はずれのゲーム」にもノミネートされてしまった。 インカムが全く稼げずにゲーセンからすぐに姿を消してしまい、『餓狼MOW』や『ヴァンパイア』シリーズとも違って細々と遊び続けているコミュニティなども皆無であるため、対戦のためにわざわざこのゲームを選ぶ理由も存在しない以上、本作が対戦ツールとして復権する事はまずないだろう…。 その後の展開 本作稼動から一年後、次回作『THE KING OF FIGHTERS XIII』が発売・稼働開始された。 こちらはキャラのドットグラフィックの画風は本作と共通だが、本作の出場キャラは後述する家庭用追加キャラ2人も含め全員続投しつつキャラや技も増え、過去作の平均相応なボリュームに復活、アッシュ編完結作としてストーリーも搭載。 本作から続投しているキャラのビジュアルにも一部細かいテコ入れが入っている。肥満体型なデブモブばかりで華がない/視認がしにくい場所があるせいでプレイにも支障をきたしていた背景も、刷新/改善された。そしてシステムは概ね『2002』ベースのものに戻され新要素の追加もあった一方で、本作『XII』の新システムはクリティカルカウンターがパワーゲージとは別に発動コンボに必要なゲージが用意された事に影響を及ぼしたくらいしか受け継がれなかった。 問題点もあるが本作における批判点に関しては改善を見せており、概ね「いつもの『KOF』」に無事戻ったと言える。 要は「本作のいわゆる正当なボリューム増加/進化版の発売」によって、「本作がなかったことにされた」或いは「本作が未完成品扱いにされた」ということであり、メーカー自ら出来の悪さを認めたということである。 極め付けは、(最終バージョンに限定しても)『XIII』は、家庭用版がパッケージ版に加えて各ハードやWindows PC(Steam)のネット配信でも販売されたり、アーケード版も基板単体版稼働の後に再度NESiCAxLive(*8)にても稼働開始したりと触れる機会が多く提供された一方で、本作『XII』はそのような再発売やフォローが一切行われていない。この観点からも両者は明暗を大きく分けたと言える。 また、ドット絵に手間暇をかけたのは長期利用を見越したものだと思われたが、次々回作の『THE KING OF FIGHTERS XIV』でフル3Dの2.5D格闘ゲームに移行したため、ハイレゾドットは『XII』『XIII』2作品のみの短命に終わってしまった(*9)。 『XIV』ではフル3Dモデルに変更されているものの、本作及び『XIII』で批判されていたキャラクターの作風については『XI』以前の物に戻されている。 同時に上述した通り好評だったレオナの衣装などは本作のデザインを引き継いでいる。 移植版 対応機種 プレイステーション3Xbox 360 発売元・開発元 SNKプレイモア 発売日 2009年7月30日 判定 なし 定価 7,140円 ポイント シリーズ初のPS3/360発売作キャラクターが2人追加しかしボリュームはフルプライス不相応 特徴(移植版) 基板変更されたアーケード版同様、シリーズ初のPS3/360にハード移行しての発売となった。 追加キャラクターとして、『2003』『XI』に登場したエリザベート・ブラントルシュと、『 96』で死亡して以来お祭り作品にしか登場していないマチュアの2人が参戦したが……。 エリザベートはともかくマチュアは唐突な選出、必殺技が2つのみと未完成としか思えないため、「次回作用の素材からとりあえず入れてみました」感が漂っている。 ちなみに両者共、衣装が大幅に変わっている。エリザベートは残念な事に胸が隠れてしまっているが凛とした立ち振る舞いにはマッチしている。マチュアは普通のスーツに眼帯とよくわからないものだが…。 移植版発売の発表が行われた後、『KOF』シリーズオフィシャルサイトのトップページに『XII』の画風で描かれたK と不知火舞のイラストが掲載されたため、この2人が追加キャラになるのでは?と予想する声が多かった。 キャラ人気的にも妥当な線…だった筈なのだが、まさかの不参加に終わったために「あの絵は何だったんだ」と少なからず突っ込みの声が挙がっていた。その思わせぶりの度合いは有名サイトでも取上げられた程である。 後にこの2人は続編『XIII』で参戦しているので、予定はあったが家庭用発売までに完成が間に合わず中止になった、もしくは家庭用をエサとして似た構図のイラストだけ用意したと見るのが正しいだろう。 次回作の家庭用でもアーデルハイドのキャラセレクト画面のバストアップによく似た構図のイラストが発売前に公開されたが、その後本編でストーリー上メインとして扱われているにもかかわらず結局キャラクターとしては追加されないという似たようなことが起こっていた。 ギャラリーモード、ネット対戦等を搭載。ネット対戦の出来は当時のプレイモアクオリティで、コンボなどを決める事は可能だが、ラグを前提に動く必要があり、本来の読み合いは殆ど成立しない。 進行不能バグも存在していたが、現在はパッチで修正されている。 元が元なので、オンラインにはオンライン対戦のトロフィー狙いでマッチング後に放置するプレイヤーか物好きしかおらず、何より、主にキャラと技の数においてフルプライス不相応の少なすぎるボリュームのせいで、中古価格もすぐに下落した。
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ゲーム名 THE KING OF FIGHTERS XIII (→ソフトウェアカタログ) 対応フォーマット PS3 CERO B (12才以上対象) ジャンル 対戦格闘 プレイヤー人数 1-2人 オンライン 1-2人 販売価格等 6,090円 (BD版 7,140円) 容量 コンテンツ容量 2286MB セーブデータ必要容量 300KB以上 配信開始日 2012/8/7 体験版 備考/PSN等 トロフィー, ボイスチャット対応 対応周辺機器 振動機能, ヘッドセット対応 映像出力 NTSC, 480p, 720p, 1080i, 1080p 音声出力 Linear PCM 2ch, Dolby Digital 5.1ch 販売元 SNKプレイモア 開発元 SNKプレイモア まとめサイト 関連スレor板 追加コンテンツ カテゴリ コンテンツ名 販売価格 容量 配信日 追加内容 システム アンロックキーパック 900円 6KB 2012/2/23 単品販売有りゲーム内で開放可 システム ギャラリーアンロック 500円 6KB 2012/2/9 セット販売有りゲーム内で開放可 キャラクター 追加キャラクター「炎を取り戻した庵」 500円 6KB 2012/2/2 システム カスタマイズアイコンアンロック 400円 6KB 2012/2/2 セット販売有りゲーム内で開放可 システム カスタマイズカラーアンロック 400円 6KB 2012/1/26 セット販売有りゲーム内で開放可 キャラクター 追加キャラクター「Mr.カラテ」 500円 6KB 2012/1/12 キャラクター 追加キャラクター「ネスツスタイル京」 500円 6KB 2011/12/22 キャラクター 「ビリー」「斎祀(変身前)」アンロック 100円 6KB 2011/12/8 セット販売有りゲーム内で開放可
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THE KING OF FIGHTERS 2002 Challenge to Ultimate Battle 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず つーさうざんどつー ちゃれんじ とぅ あるてぃめっとばとる】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 アーケード(MVS)、ネオジオ 発売元 プレイモア 開発元 イオリスブレッツァソフト 稼働開始日 2002年 発売日 【NG】2002年12月19日 判定 良作 ポイント 『 98』に次ぐネスツ編お祭りバトル「どこでもキャンセル」の追加によりコンボの自由度上昇新要素 キャラ数に対し奇跡の良バランス演出面は引き続き難があるが、対戦面で名を刻んだ THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 特徴 評価点 優れた対戦バランス その他 賛否両論点 いつも通りのスタッフの悪ノリ キャラ選定 問題点 全体的なセンスの悪さ どこでもキャンセル その他の問題点 総評 移植・リメイクなど 概要 旧SNKから続く看板作品の第9作目。通称2002。 前作『2001』でストーリーが一区切りしたため、『 98』同様ストーリー無しのお祭りという設定。 「2001」のスポンサーである韓国企業「イオリス」が関わった最後のKOF。 また、開発はブレッツァソフト、販売はプレイモアという体制ゆえ前作は旧SNK時代に比べ粗が多い出来となったが、今作は対戦面において屈指の評価を刻むことになる。 参戦キャラクター 日本チーム 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 餓狼伝説チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー東 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア タクマ・サカザキ 怒チーム レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 韓国チーム キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ 女性格闘家チーム 不知火舞 メイ・リー ユリ・サカザキ KOF 96チーム 八神庵 マチュア バイス KOF 97チーム ブルー・マリー ビリー・カーン 山崎竜二 KOF 98チーム 七枷社 シェルミー クリス KOF 99チーム K マキシマ ウィップ KOF2000チーム セス ヴァネッサ ラモン KOF2001チーム クーラ・ダイアモンド アンヘル K9999 オロチチーム(隠し):乾いた大地の社 荒れ狂う稲光のシェルミー 炎のさだめのクリス 隠しキャラ KUSANAGI(クローン京) ラスボス(家庭用のみ使用可能) オメガ・ルガール 家庭用追加キャラクター(隠し、要条件) DC版・PS2版・Xbox版:矢吹真吾 キング PS2版・Xbox版:ギース・ハワード ゲーニッツ ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ 特徴 『 99』~『2001』に導入されていた「ストライカー」システムを排除し、『 98』までと同様の3on3に回帰。 チーム名からも分かる通り、ネスツ編だけでなくオロチ編も含めた全作品の集大成という意味合いが込められている。このためオロチチームやマチュア・バイスといった、98→99以降で(ストーリーの都合上)削除されたキャラの再登場を含め、全13チーム39キャラ+隠れた裏キャラ4人も使用可能。 キャラの操作システムは『 98』のADVANCEDモードを継承しているため、詳細はそちらに譲る。以下に『 98』から変化した本作独自の要素を書いている。 ゲームスピードが全体的に速く、弱攻撃からの連続技が決まりにくくなっている。 スーパーキャンセルやワイヤーダメージなど、『2001』までのシステムを一部導入。 前作に引き続きシステム上の気絶が廃止されているが、本作ではリョウのMAX2である天地覇煌拳をヒットさせた時のみ例外的に気絶する。 ゲージを1本消費して発動できるパワーMAX中は、通常技・特殊技などのモーション中の任意のタイミング、または対応した必殺技を当てた/ガードさせた瞬間に必殺技コマンドを入力すると、そのモーションをキャンセルし次の必殺技を出せる「どこでもキャンセル」が使用できる。これにより「オリジナルコンボ」さながらの長くて強力な連続技も可能だが、この特性上本作のMAX状態は逆に攻撃力が下がり(0.7倍)、どこでもキャンセルを使う前提でのMAX発動であると言える。 パワーMAX発動中かつ体力が一定以下の時に使える隠し超必殺技として「MAX2」が追加。 ゲージを+1本消費して、通常技を緊急回避やパワーMAX発動でキャンセルできる「クイック」が追加。通常技ヒットから高度な連続技に繋げたり、ガードキャンセルふっとばしを読んで回避するなど新たな駆け引きが生まれた。 ちなみに稼働当初はMAX2という名称も不明だったため、FB(ファイナルベント)(*1)等と言われていた。 ガード耐久値が約1/4以下になると体力ゲージの枠が点滅する。ガード耐久値の変化が視認できるのはシリーズ初。 評価点 優れた対戦バランス どう作り直してもバランスを崩していた「ストライカー」を廃することでシステム面のバランスは改善。特徴で書いた新要素もうまくハマっている。 「どこでもキャンセル」を用いた連続技は強力だが、ゲージの使い道が多いことやパワーMAX発動を経由することから、拮抗した対戦になると意外と決められる場面は少ない。 勿論、旧作通りの立ち回りでも戦えないという状況にはならず、システムに合わないキャラも十分戦える。 より強くなるための技術として奥深さを出すという立ち位置に留まっているのが好印象で、XIII以降にもこの設計思想は引き継がれている。 ネスツ編初出のキャラクターにはより特徴的な技が追加されることでテクニカルな性能になった新キャラが多く、一キャラあたりの密度が濃くなっている。 キャラクターバランスについても「KBC(キム・ビリー・チョイ)」という最強キャラクターで組んだチームがテンプレ化するなどの問題もあったが、それぞれのキャラに苦手キャラが色々といることが判明し、前後作のように理不尽な強さを発揮できるキャラはおらず、程良い強さの為、プレイヤーの実力が如実に反映される程度にまとまっている。 どこでもキャンセルによるコンボ開発 元々一部のループコンボを除いて長いコンボのないシリーズであったため、どこでもキャンセルを利用した実用から魅せ重視まで様々なコンボが開発された。 ネスツ編独自要素の「ストライカー」とは異なり、「キャンセルの自由度が上がる」という単純明快ながら的確なシステムになっているのも高評価。マンネリ打破の役割も併せ持っており、形を変えて他作品にも受け継がれる要素となった。 前述の通り奥深さとしての意味合いが強いため、今まで以上に練習する意味と楽しさの拡大に成功している。 ちょうどインターネットが普及してきた頃でもあり、実用性皆無の魅せコンボ集動画が作られたりもした。 その他 CPU戦ではステージ毎に対戦チームを2組の中から選択できる。 賛否両論点 いつも通りのスタッフの悪ノリ MAX2の演出はKOFとしては珍しく派手で長めの物が多いが、隠し要素だけに遊びで追加したのが随所に見える。 隠された一発逆転技らしいといえばらしいが、残念ながら既存の動きの流用で作られたものが多い為、冗長で安っぽいという声も多かった。 発動時の台詞はK の「黒だよ…真っ黒ォ!」、京の「響けぇー!」、社(表)の「べこべこにしてやんぜえー!(「疾風伝説 特攻の拓」のパロディ)」等悪ノリの産物多し。しかし一部の台詞はその後も定着し、意外にファンの間からも親しまれていたりはする。演出面での入れ替えが多い「2002UM」においても個性として受け継がれているものが多数。 後に公式発表で発覚した技名もネタ要素多数。 チョイの「杓死」はワンピースのパロディ、社の乱舞技は初出作の世界観と乖離した『「ERROR」 code “2002”』。山崎は『…!!』という発音不可能なもの。 既存キャラのMAX2コマンドは過去作時の非一般的な超必殺コマンドから採用したものが多い傾向。それに合わせてか、KOFシリーズ初出キャラのMAX2にも突飛なコマンドが多かった。 特に話題となるのはK9999のコマンド「空中で←→←→←→←→」。これはボタン無しでも成立する上に、最後以外はジャンプ中でなくても入力を受け付けているせいで、他の超必殺技コマンドを使おうとしたときに前後を繰り返す→ジャンプ中に前入力で暴発する(つまり厳密には「←→←→←→←・空中で→」ともいえる)。 性能はピンキリ。初見殺しかつ分かっていても咄嗟の回避に失敗する事もあるチョイの「杓死」は強烈。 当てづらいが高火力の技が多く、使いづらい技でも上手く読み勝って決めれば大逆転を狙えるのは隠し技らしいといえばらしい。実用性が高い技としては、先程のチョイの「杓死」、庵の「焔甌(ほむらほとぎ)」、大門の「風林火山」、裏社の「ХАРУМАГЭДОН(ハルマゲドン)」(*2)、キムの「ゼロ距離鳳凰脚」が主に挙げられる。 一方で使いにくいにも程がある物もちらほらあり、当身判定の発生が遅すぎてダメージを食らうかモーションでバレバレなビリーの「ライアー・エレメンタル」、2ゲージも払うコマンド投げの割にはダメージが異常に安すぎで一応代わりに成立後に“相手のレバー入力が上下左右それぞれ逆になる”効果(*3)があるものの一回攻撃を当てただけで終わるためオマケにしか過ぎないセスの「時雨 乱菊」、ヒットしても自分が死ぬ可能性がある上にヒット後に緊急回避で抜けられてしまう裏シェルミーの「運命の矢」等はまず出番はない。極めつけはクリスの「炎のさだめのクリス」で、ゲージを払って裏クリスに変身するだけという実用性皆無な技も存在した。 公式キャラクターイラストは『2001』同様ノナ氏が担当。前作を越える癖の強さでキワモノっぷりが加速。 プロだけに画力は確かで、無論ノナ氏の絵が好きな人もいるが、その癖の強さと以前の絵師(主に森気楼氏)が確立させたイメージの違いの激しさから、キャラ好き層は前作以上に阿鼻叫喚とした。特に庵や山崎、社、裏オロチチームなどはある意味必見で、庵の絵を同じ氏が描かれた『2001』と『2002』で比較すると一目瞭然。 どうもスタッフ間の連絡が上手く行っていなかったようで、ノナ氏も後に「何かおかしいぞ?」と思ったとか…(*4) ノナ氏も関わったリアルバウト餓狼伝説シリーズに出演していたはずの山崎まで以前とは遥かに異なるイメージの絵になっているあたり、相当な混乱があったと思われる。 ゲーム内のイラストは『2001』よりはある程度改善されており、キャラクターセレクト画面や勝利メッセージ画面のドット絵は無難な出来となっている。アニメ調に賛否はあるとはいえ、イメージを損なうものは前作より少ない。 ネタ要素はいつも以上に濃いめ 「いけオラァ!」「飛べオラァ!」「オラオラオラオラァ!どうした!あん!?」「潰すぞコラ!」とボイスの大半がその辺のチンピラ同然になったK 、露骨過ぎるアイドル(当時人気だったモーニング娘。、松浦亜弥)のパロディネタが付加されておかしくなったアテナ、勝利メッセージが放送禁止レベルに発狂してしまっている山崎、同じく勝利メッセージがやや柄悪くなったラルフ、やたらとチンピラ過ぎるビリーと社(特に裏版)、声優変更に伴って性格が大幅に変わった(*5)アンヘルなど。 スタッフもやり過ぎたと思ったのか、後にK はボイス新録、山崎の勝利メッセージ等はリメイク版の2002UMでは修正が入っている。 鉄雄ことK9999は本作にも登場。自重するどころかMAX2は「これは、まるで…!!」漫画版AKIRAのワンシーン。相変わらずパロディの域を超えていた。 その上隠しキャラとして使える学ラン版草薙京(クローン京、通称KUSANAGI)を元・金田役の岩田光央氏に演じさせ、アニメ版AKIRAの名シーン「『さん』をつけろよデコスケ野郎ォ!」と掛け合いさせる始末。ご丁寧なことに「素手で勝負しやがれェ!」もあったり、双方の勝利台詞にもAKIRAからの引用がある。一応、岩田氏は元々草薙京の声優候補の一人だったという経緯があり、『99 EVOLUTION』『2000』でもストライカーとして登場した京の前身キャラ「霧島翔」を演じていたりするので、クローン京を演じる理由がないわけでもない。 既存キャラの技名変更や追加技にもパロディが盛り込まれており、メイ・リーは「ゴッズテイルティンカーベル(神尾観鈴)(*6)」「ディスポジションフロッグ(けろぴーはここ)(*7)」等『KEY作品』ネタ、ラモンは追加技が「バードオブパラダイス」、「サベージファイヤーキャット」、「ヒプノティックタイガー」(*8)と『MtG』ネタが仕込まれている。 エンディングもストーリーが無いのをいいことにキャラクター達が繰り広げるギャグ寸劇集となっており、一部はキャラ崩壊気味なものもある。 加えて本作は、同じくストーリー無しの『 98』ですら1枚絵が用意されていたデフォルトチームのエンディングすら存在しない。特殊エディットチームは言わずもがな。 キャラ選定 オロチ編のキャラの復帰が喜ばれた一方、削除されたキャラの選定には微妙な面も ネスツ編の締めでありながらネスツ編新キャラのフォクシー、麟、雛子、包は削除。一方でよりによってあまり人気の高くないメイ・リーが続投され、新キャラも総じて癖が強かった。 フォクシー、麟、包は直前の『2001』でバランスを壊していたキャラである為、それが原因と言われている。メイ・リーの件はスポンサーのイオリスの要求もあったと思われる。 オロチ関係のキャラが一部復帰したが、その割を食う形で常連キャラのキング(1作目の 94から皆勤だった)、矢吹真吾( 97から皆勤だった)、ハイデルン等はリストラされてしまった。 キャラの入れ替わりが激しいシリーズではあるが、ストーリーのない純粋な対戦ゲーである(しかもバランスが突出して良い部類だった) 98や本作はストーリーを無視して参戦できるチャンスであり、やはりリストラされたキャラのファンにはつらいものがある。 問題点 全体的なセンスの悪さ 前作『2001』と同程度に、背景グラフィックや演出はやはりチープな印象を受ける。過去のシリーズとは比べようも無い。 韓国ステージの背景に謎の超高層ビルが建っていたり、カンボジアステージの左端に高速で手と口が動く男(*9)がいたりとちぐはぐな箇所が散見される。 UIやフォントなどはかなり雑な印象。タイトル画面の社名、試合中の残り時間、「PERFECT」の文字など、ありとあらゆる文字のフォントが違うため、違和感を感じやすい。 試合中に「98」のようにチームのキャラクター名が常時表示されているが、やけに大きくフォントもファミコンのようであり、その割に背景と同化して見にくかったりする。 BGMは『2000』以前の人気の高いBGMを使用しているが、音源の容量も削りに削ったのが伝わるほどに音が弱々しい。 音源ごとの「反響」の部分をごっそり削ることで削減しようとしたのだと思われる。ドラム音などが薄くなり、全体的に薄っぺらく聴こえるのはそのためである。 「KD-0079」はほぼ別の何かになってしまっている。「龍虎の拳2」の「ダイエット」(ユリのテーマ曲)を採用するなど意外な選出をしている辺り、苦労があったのは見て取れる。 キャラボイスも全体的にくぐもり気味。 キャラのアニメーションも、中途半端にドット絵を変え、結果改悪となっているキャラがちらほら見られる。また、新録された台詞も無駄口が多い。 これらは使用基板(MVS)の容量を限界まで使ったことも影響しているのだが…(*10)。 そんな中ビリーと山崎のMAX2(ビリーは演出の締めの部分)はなぜか異様に滑らか。何かこだわりがあったのかそれとも上層部の命令があったのか。 どこでもキャンセル 本作の主軸となるMAX状態における要素だが、恩恵を受けるキャラとそうでないキャラの差が激しい。 とはいえ、前述通り「どこでもキャンセル」は絶対的な存在ではなく、無くても戦えるキャラが多いので一概に強い・弱いの差はつけられない。事実、その恩恵が大きい草薙京は最弱キャラの一人とされる。一方でチョイ・ボンゲが本作の強キャラの筆頭候補だが、どこでもキャンセルとの相性は決して良い訳でもなかったりする。 その他の問題点 一部キャラの技構成の変更 これもシリーズでは何度も行われている点ではあるが、七枷社の突進技が無くなったり、マチュアの特殊技削除、ロバートの飛燕疾風脚など挙げるとかなりの数がある。タクマに至ってはもはや性能に関しては別キャラとも言えるほど過去作からの変貌を遂げている。 とはいえ、高性能の突進技を他に持っている(使えない方を消しただけ)社、単に『 96』の仕様に戻しただけのマチュア、本作に限らずよく性能が変わるロバートなど、純粋な問題とも言い切れない。 なお、後述のリメイク版『02UM』では一部のキャラの技が復活しており、技が殆ど別物に変わってしまったタクマも旧作仕様のものが裏キャラとして追加された。 公式チームの扱い これまでのシリーズでは公式チームでプレイすると専用のストーリーやエンディングがあったり、本作と同じくストーリーが存在しない『 98』もクリア時に専用の一枚絵イラストがあった。しかし、本作では前述のように寸劇集のみとなっており、どのメンバーでクリアしようがエンディングに全く影響しない。 リメイク版『02UM』では『 98』のようにチーム別の専用イラストが追加された。 チーム別のバックストーリーなども存在しないため、どういう経緯でチームを組んだのか等も不明のまま。チーム名についても、「KOF 96チーム」「KOF2001チーム」のように各年の代表をそのまま示したような味気ないものとなっている。 同様にドリームマッチだった『 98』では、各キャラへのインタビューという形でそれぞれのメンバーの経緯が語られていた。 リメイク版『2002UM』ではチーム名や構成が一新され、新チームのみ結成の経緯が簡易ながら明かされた。 総評 本作の高い評価は、そのゲームバランスによって得られたものと考えていいだろう。 シリーズ一の名作である『98』のADVANCEDモードをベースにしつつ、3年間続いたネスツ編のキャラ+2002独自の要素を所々に織り込んだことで、『98』とは似て非なる「普通に面白いKOF」を完成させている。 KOFは出来の悪さが目に付く部分が激しいシリーズと言われており、本作は珍しいことにバランス以外の演出面がこれに当たるのだが、 「久しぶりにまともに対戦できるKOF」ということで手放しに評価されたことは間違いなく、優れた対戦ツールとして手に汗握る熱い駆け引きを提供した作品の一つとしてシリーズに名を刻んだ。 何よりプレイモア、新生SNKとしての復活もまだまだ不完全だった中で、ここまでの対戦ツールをプレイヤー達に提供して盛り上がりをある程度回復できたことが、復活を遂げてシリーズ発展が継続している現在に至るまでの礎となったのは確かだろう。 「出たことが自体が奇跡」とまで言われた前作と同じ体制で、KOFは再び奇跡を起こしたと言っても過言では無い。その意義の大きさは、(結果はともあれ)2度も本作のリメイクが試みられたのが証左である。 移植・リメイクなど ネオジオ版の他にも、ドリームキャスト・プレイステーション2・Xboxにも移植された。 ちなみに本作のDC版が、(旧SNK含めて)SNK・プレイモア系列にとって最後のセガハードで発売したソフトになった(*11)。 ドリームキャスト(DC)版には本作に登場しなかったキングと矢吹真吾、プレイステーション2(PS2)版とXbox版にはこの2人に加え『SVC CHAOS』からのキャラであるギース、ゲーニッツ、暴走庵が追加されている。 追加キャラ5人のイラストもノナ氏により新規で描き下ろされている。PS2版のギャラリーモードで見ることができる。 しかし、追加キャラの性能については、キングと真吾は『2001』から、ギース、ゲーニッツ、暴走庵は『SVC』からのほぼコピペとなっているため、手抜き感は否めない。さらに、コピペによる調整ミスなのか各機種で不具合が散見される。 DC版でのキングと真吾は投げのダメージ量が『2001』準拠のため非常に小さくなっている他、ダウン回避のボイスが削られている(PS2・Xbox版で修正)。 また、真吾については『2001』での超必殺技「真吾謹製・オレ無式」がMAX2に変更されているため常時出せなくなり、超必殺技が1種類のみになってしまった。さらに、キングのミラージュキックが超必殺技並みに高威力、ガードクラッシュ時の硬直時間が極端に短い等の不可解な箇所はPS2・Xbox版でもそのまま残されている。 PS2版の初版でも『SVC』からの追加キャラクターのふっとばし攻撃にダメージが設定されていない、ヒットストップ時のみボタン設定が一時的に入れ替わる等のバグやミスが多く見られたが、後に出たベスト版やXbox版で修正された。 しかし、PS2ベスト版では山崎のドリルの攻撃の一部が特定キャラクターに当たらなくなる等の初期版に無かったバグが新たに発生している箇所がある。 PS2版は後にPS3のゲームアーカイブスでも配信。こちらもバグを修正したベスト版の配信となっている。 事実上のマイナーチェンジとして、2004年にATOMISWAVE向けに『THE KING OF FIGHTERS NEOWAVE』が稼働している。 『2002』の実質的リメイクだがほぼ全てにおいて劣化してしまった残念な出来。 本作そのもののリメイクとして『2002 UNLIMITED MATCH(略称:2002UM)』が2009年にプレイステーション2で最初に発売、その数ヶ月後にそれを再調整及びバグ修正したものが業務用として稼働開始している。こちらはさらに好評で、前に挙げた変なところを一新、容量の都合で削除されていた技が復活 新技が追加、コマンドも標準的な物に変更、MAX2も実用的な技に変わった。業務用の対戦バランスに再調整されたものは後にプレイステーション2で『闘劇ver.』として発売された。更に後にXbox 360(XBLAことXbox LIVE ARCADE)やSteam(Windows PC)、プレイステーション4でも配信及び発売、これらも業務用版準拠の移植となっている。 最初にPS2で出た初期版には結構な数のバグがあり、一部対戦バランスを壊していたキャラ及び技が存在していたため、今から買うなら闘劇ver.及び他ハードへの移植版がお勧め(厳密にはこちらもまだ色々と直しきれなかったと思われるバグが多少はあるのだが、それでもバランス崩壊やゲームの進行を妨げる致命的なものは存在しないのが救い)。 『 99』から『2001』に登場し、『2002』で登場しなかったキャラを再登場させた結果、総キャラクター数は隠しキャラを含めて60人オーバー。復活した大お祭り騒ぎとして旧来のファンから支持を得た。キャラバランスも、(PS2初期版を除いて)この数にしては比較的整っている。 K9999は様々な事情によりとうとう参戦できなかったが、代わりに性能をほぼ引き継いだ「ネームレス」という新キャラが参戦している。 PS2版(両方共)のみ、原作NEOGEO版『2002』をプレイできる「ネオジオモード」が収録されているため、そこでのみK9999を使用することが可能。しかしこちらは『 98UM』と違いX360/Steam/PS4版には収録されていないため注意。 各チームやボスキャラクターのBGMも過去作のアレンジや新規で収録されており、中でもイグニスの新テーマとなった「Save the Universe」は、もはやRPGのボス戦かと思うほどの壮観な曲であり、人気も高い。 2018年12月27日に、Switch、PS4、XBOX ONEにてアケアカNEOGEOでMVS版が配信開始。CERO B(12才以上対象)。
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THE KING OF FIGHTERS XIV 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ふぉーてぃーん】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 プレイステーション4Windows(Steam)アーケード(NESICAxLive2) 発売元 SNK 開発元 SNK【Win】Abstraction Games 発売日 【PS4】2016年8月25日【Win】2017年6月16日【AC】2017年6月29日 レーティング CERO C(15才以上対象) 判定 良作 THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 ゲームシステム 登場キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 前作(『KOF XIII』)から実に6年ぶりの『KOF』シリーズ第14作。 前作までと異なり、業務用ではなく家庭用が初出ということや、キャラクターモデルが『KOF MAXIMUM IMPACT』シリーズ以来のフル3D化となり、且つ奥行移動などがない所謂「2.5D格闘」となった点が大きく異なっている。 後発となったAC版は現在タイトーがACで展開しているダウンロードコンテンツシステムである「NESICAxLive2(*1)」のサービス開始と同日に稼働が開始された。 ストーリーは新局面を迎え、中国チームの新キャラクターである「シュンエイ」を中心とした物語が展開されるものの、現時点ではこれまでのような「〇〇編」という名称は決まっていない。 ゲームシステム 基本システムは従来と同様。『XIII』までに培ってきた「弱強のパンチ・キック攻撃」「ふっとばし攻撃」「三種類の特殊ジャンプ」「走るタイプのダッシュ・緊急回避により接近がしやすくスピーディーな攻防」が核となる面白さは本作にも引き継がれている。 ゲージシステムも過去作品のものに近いが、以下のような変更点がある。 『 98』『2002』等と同様にパワーゲージ1本を消費して一定時間パワーアップする「MAXモード」が発動可能。ただし効果内容が従来のような攻撃力アップではなく、「残り時間を消費してEX必殺技が使用可能」になるというものになっている。 『XIII』から登場した、必殺技の強化版である「EX必殺技」だが、本作では通常状態からEX必殺技を出すことはできず、このモードの専用ゲージ(制限時間)の約25%を消費することで初めて発動できるようになる。 EX必殺技は今作からはスーパーキャンセルは不可になったが(ただし一部は除く)全体的に当てた後に追撃可能なものが多く、本作における連続技の主なコンボパーツとなる。 通常技・特殊技をキャンセルしてパワーMAXを発動する「クイックMAXモード」も存在。クイック発動した場合は通常より効果時間が半減する。 「超必殺技」はゲージ1本を消費する通常のものに加え、ボタン同時押しで2本を消費することで超必殺技が強化される「MAX超必殺技」と、ゲージ3本を消費してより高威力かつ派手な演出となる「CLIMAX超必殺技」が存在する。 なお、MAXモード中はボタンを同時押ししなくてもゲージ1本で「MAX超必殺技」が、そしてゲージ2本で「CLIMAX超必殺技」が使用できるようになるが、いずれも使った時点でMAXモードが終了する。 必殺技から超必殺技に繋げる「スーパーキャンセル」や、超必殺技からMAX超必殺技に繋げる「アドバンスキャンセル」に加え、さらに超必殺技からCLIMAX超必殺技に繋げる「クライマックスキャンセル」が存在。同じ超必殺技でキャンセルすることはできない。 2010年代の格闘ゲームの風潮に沿って、近距離で立ち状態からの弱パンチボタン連打で自動的に必殺技・超必殺技まで繋げる「 ラッシュ 」というシステムも用意されている。 地上ふっとばし攻撃を当てた時の吹き飛びが変化しており、地上の相手に当てると相手を相手側の画面端まで吹き飛ばし、端に到達すると膝から崩れ落ちるようにダウンさせるようになった。 膝崩れダウン時には追撃可能になっており、画面端近くで当てた時のリターンが上がっている。 細かい所では「立ちしゃがみガード切り替えでガードポーズをとり続ける」仕様、通称屈伸が削除され、投げが決まりやすくなった。 登場キャラクター + ... ○は本編シリーズ初登場キャラ(うち太字は完全新キャラ)、●はXI以前からの復活キャラ(外伝作品は除外) 中国チーム ○シュンエイ、●タン・フー・ルー(*2)、○明天君 日本チーム 草薙京、二階堂紅丸、大門五郎 八神チーム 八神庵、マチュア、バイス K チーム K 、クーラ・ダイアモンド、マキシマ 餓狼伝説チーム テリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシ 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、ユリ・サカザキ 怒チーム ラルフ、クラーク、レオナ サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ、椎拳崇、鎮元斎 女性格闘家チーム 不知火舞、キング、○アリス 異世界チーム ○ナコルル(*3)、○ムイムイ、○ラブハート キムチーム キム、○ガンイル、○ルオン 悪人チーム ○ザナドゥ、●チャン・コーハン、●チョイ・ボンゲ オフィシャル招待チーム ○シルヴィ・ポーラ・ポーラ、○ククリ、○ミアン 南米チーム ○ネルソン、○サリナ、○バンデラス・ハットリ メキシコチーム ●ラモン、●アンヘル、●キング・オブ・ダイナソー(*4) サウスタウンチーム ●ギース・ハワード、ビリー・カーン、○ハイン ボスキャラ ○アントノフ、○バース Ver2.00追加キャラ ●ウィップ、●山崎竜二、●ヴァネッサ、○ロック・ハワード(*5) Ver3.00追加キャラ ●ハイデルン、●オズワルド、○ナジュド、●ブルー・マリー 評価点 操作性などは従来のKOFほぼそのまま 2.5Dグラフィックの格闘ゲームがスタンダードになってきた中、本作も3Dグラフィックでありながら2D時代の操作感や駆け引きを損なっておらず、ラッシュなど初心者向けのシステムが備わっている点を除けば従来通りのKOFを楽しむことができる。 パワーMAXとEX必殺技によるコンボは旧作の「どこでもキャンセル」「ドライブキャンセル」に相当する連続技システムだが、必殺技コマンド入力を連続でしなければならなかった従来のものに比べると操作に比較的ゆとりがあり、負担がかかりにくくなっている。 3Dグラフィックによる演出強化 一部の必殺技ヒット時、またはMAX超必殺技やCLIMAX超必殺のカットインやヒット時の演出などでアングルが変わったりと、ドット時代では不可能だった演出が3Dの利点により施されるようになった。 試合部分以外でも中間デモムービーなども高画質でクオリティの高いCGで演出されるようになった。 ver2.0からKO時のスロー演出を廃止し、若干アングルが変化するストップ演出に変更されるようになり、メリハリが強化。 『KOF』の売りである多くの登場キャラクター 発売時点での登場キャラは16チーム×3人とボスキャラ2人で50人。これに加えて発売後に4人のキャラの追加が2回行われ、合計58人。 『KOF』の特徴である「使用可能キャラの多さ」を新生一作目にしてここまでの規模で実現したことは驚異的である。 新キャラも、KOFシリーズ当初にあった「各国代表戦」や「SNKキャラのオールスター」というコンセプトに沿っており、南米チームのような従来作になかった国際色豊かな新キャラや、KOF派生作である『デイズ オブ メモリーズ』初登場のキャラ、2000年代から参入していたパチスロ機からの登場キャラ(アリス、ムイムイ、ラブハート)も見られる。 既存キャラにおいても、まさかのチョイスや大胆なチーム再編成を施して参戦させているものもおり、新チーム内でこれまでとは違う新たな一面を見せてくれるキャラもいる。 特に今まで派生作品での参戦にとどまっていた『サムライスピリッツ』シリーズから「ナコルル」が参戦したことは大きな話題にもなった。 DLCによる追加キャラも人気どころを抑えており、シリーズファンからすれば「分かっている」と十分に納得いく選出である。 特に『XI』のみの登場ながら根強い人気のあったオズワルドの参戦は賞賛を得ている。 キャラ同士の掛け合いも多く、因縁の闘いを演出するものもあればおどけた会話も豊富であり、またシリーズファンであればニヤリとするものも。 継続的なアップデート 2016年夏の発売以降、2年以上にわたってキャラの追加やバランス調整、各種不具合の改善が継続的に行われている。 発売当初はオンライン対戦の快適性にやや難があったが、これもアップデートで若干は改善している。 後発であるWin版やAC版も、PS4版に合わせる形でほぼ並行してアップデートが行われている。 BGM OP曲の「Follow Me」とスタッフロール曲の「Burning On」がスティーブン・マクネア氏(*6)によるヴォーカル入りという、KOFシリーズとしては新たな試みを行っており、新シリーズを飾るにふさわしいという評価を得ている。 本作から、特定キャラの組合わせでの対戦になった場合、「専用の因縁対決BGMに切り替わる」という仕様が導入され、その曲もそのキャラクターたちにちなんだ過去作品の曲のアレンジという「(原曲を)知っている人にはピンとくる」ものになっている(*7)。 一例を挙げると、京対庵戦は「New Order」(*8)の、テリー対ギース戦は「ギースにしょうゆ」の、リョウ対ギース戦は「ギースにキッス -Cyber Edit-」の、リョウ対キング戦なら「みちゃいやっ」のアレンジ…といった内容。 他にもラルフ対クラーク戦の場合は『怒』のメインBGMのアレンジ、変わったところではアンディ対タン・フー・ルー戦が『餓狼伝説2』及び『餓狼伝説スペシャル』のイタリアステージの曲「パスタ」のアレンジだったりする(*9)。 賛否両論点 声優の変更 紅丸/チョイやアテナ、ギースなど旧作から変更のないキャラクターもいる一方で、京・庵・テリーなどをはじめとした多くのキャラクターは声優が変更されている。 イメージを損なうような演技はないが、やはり今までの声優で確立されたキャラクターのイメージとの違いが生じるのは避けられない。特に京は声優に加えて衣装と髪型も変更と、グラフィックも含めた急激な変化が一気に起こったため、初期は困惑の声が大きかった。 サウンドディレクターの麻中秀樹氏によれば「今作での大幅なキャスト変更については様々な事情もあるが、キャラの人数が多いことに加え、各キャラ1人あたりの台詞の量も大幅に増えているため、1人で複数のキャラを演じることは(演者の負担も大きいので)原則避ける方針でのキャスティングになった」とのこと(*10)。 また、プロデューサーの小田泰之氏は「変更のあったキャラについてもゲームありきでそのイメージに近く、(基本的に)旧作のキャラのボイスに似ている人を選んだ」と述べている。 本作では対戦前の掛け合いや勝利メッセージ等がフルボイス化されているが、同様の仕様であった『KOF MAXIMUM IMPACT 2』では、舞台俳優やナレーターなど声優としての活動がメインではない人物が多かった従来のキャストについて「フルボイス化によって棒読み気味に聞こえたりと演技に違和感を覚える」という声もあったため、その点でも本作で専業声優メインのキャストに変更されたことには賛否の声がある。 少ないゲームモード アーケードゲーム同様、勝ち抜きで進む中間デモ付きのストーリーモード、オンライン対戦モード、トレーニングモードなど、遊べるのは格闘ゲームとしてはほぼ最低限のゲームモードのみとなっている。 前作にもあった、全キャラクターのコンボが学べるミッションモードの「トライアル」は全体的に難易度が低くなり、トライアル数も少なくなっている。 ただ、前作のトライアルの場合実用的なコンボが少なく、システムも相まって難易度が高すぎた面もあったので、最低限の基礎コンボを学ぶだけの初心者には大して問題ではなく、そもそもやりこみ勢であれば複雑なコンボはどうせトレーニングモードで研究する事が多いため、丁度いい配慮とも言える。 これをシングルプレイのボリューム不足と捉えるか、「そもそも使用キャラがここまで多いのだから全てのキャラを使おうとするだけで相当なボリュームである」と捉えるかは人それぞれと思われる。 DLCキャラクターに専用エンディングが無い 『 97』以降の過去作はエディット専用キャラクターがいる時は条件を満たせば専用のエンディングが見ることができたかつ今作のDLCキャラクターの一部は専用ステージ(*11)が用意されているのに、DLCキャラクターのエンディングが存在しないのは片手落ちとしか言いようがない。 まあ今作の既存チームのエンディングに姿を見せているウィップとヴァネッサとハイデルンとマリー、過去作で登場した山崎とオズワルドはある程度仕方ないが、今作が本編初参戦のロックと新規登場のナジュドに関しては非常に残念である。 なお次作である『XV』(後述)では、2023年9月時点でオズワルド以外はデフォルトチームのメンバーなどで再登場して正規にエンディングが用意されている。 変更された各種システム仕様 ジャンプの仕様 今作では初心者配慮またはオンラインのラグ対策のためか従来よりジャンプがふんわりしており、全体的にジャンプ攻撃が確認しやすくなった。 反面ジャンプの全体時間が間延びし、旧作と比べやや操作感に変化がある(*12)。 ステージの広さが『XIII』同様16 9であり、それに加えバックステップや緊急回避による逃げが行いやすくなっている。 ジャンプ攻撃自体もめくり性能が低下していたり、そもそもめくり性能の削除が多かったり、低い姿勢の攻撃で回避されやすくなっている。 アップデートでのキャラバランス調整によりある程度変化があるものの、今作ではダッシュしてすぐにガードが行えるようになり、なおかつ(キャラクターにもよるが)根本的にジャンプ性能が抑えられ、攻めの基点である飛び込みの脅威が減っていると言える。 そのため今作では(下記のクイック発動も付け加えると)良くも悪くもジリジリとした間合い調整が重要になり、従来に比べ地味な試合展開が発生する場合がある。 パワーゲージ関連の仕様 前作ではゲージ1本消費で発動する仕様だった「EX必殺技」だが、今作では「MAXモードの専用ゲージ(残り時間)を約25%消費」という仕様に変更。つまりゲージ1本で何度も発動できるようになったため、使用するには発動こそ介さなければならないがコストが軽くなり、手軽に連発がしやすくなった。 特にクイックでない直接発動を行った場合、すぐEX必殺技を行えば1回の発動で最大で約6連続も行えてしまう。発動に消費するパワーゲージ量は1本のため、最大の5本ストック状態であれば約30連続行えなくもない。 1番手であればゲージの最大数が減少するが、その場合でも直接発動から即使用した場合約4連続行うことが可能。 こうした連発は実戦でも籠城や押し付けなどの戦術として組み込めないこともなく、言ってしまえば見映えの悪い戦い方が行えてしまう。初期バージョンのマチュアはまさにこの戦法が非常に強力なキャラクターだった。 ただし現在は下方修正済みで、そもそも「一度発動を介さないとEX必殺技が使用できない」という点や、また今回のEX必殺技は前作ほど強力なものが少ない事もあり、現在は「パワーゲージの多くを直接発動~EX必殺技に回す」という戦い方はほぼ無くなっている。 反面EX必殺技がMAXモード時限定となったため、単に前作と比べ窮屈だという指摘もある。EX必殺技を使用するには必ず発動を行なければならないため、EX必殺技での意表をついた崩しなどが発動のワンクッションのせいで成立しづらかったり、MAXモードを発動した側は性能の良いEX必殺技を所持している場合連発したり、またその逆に発動された側はMAXゲージが尽きるまでは下手に手を出さず逃げ回ったりなどどちらも動き方が強制されてしまう部分が生じる。 とは言えそういった仕様込みでバランス調整が行われている面もあり通常モード時では厳しいキャラにとってはキャラ差を埋められたり、キャラ相性を解消する役割もあり、実際にこの仕様が有利に働いているキャラもおり、一概に良し悪しを決められないところでもある。 今作のクイック発動にあたる「クイックMAXモード」は、通常攻撃や特殊技をキャンセルし、隙消しや更にコンボを伸ばす…という使い道こそ以前と同じだが、今作もXIII同様に、キャンセル発動時は自動でダッシュを行ってくれるため、キャンセル時の複雑な操作が必要なく、コマンドの暴発も起こりにくくなり、初心者でも簡単に発動コンボを行いやすくなった。2002の仕込みダッシュ(*13)やずらし発動(*14)、XIIIのディレイオーバードライブ発動近C漏れ(*15)等、今までネックだった部分が解消されたため更に初心者にも優しくなっているし、もちろん熟練者でも頻繁にコマンドミスが起こりうる場面だったので、喜びの声もある。 一方で、ヒットストップというかゲームテンポ自体がXIII以前より遅くなった事から、小攻撃ヒット確認からMAX発動コンボまでを繋ぎやすくなり、簡単になりすぎてテクニックを磨く楽しみが減っているといった指摘や、少々便利すぎるため「スーパーキャンセルのみ可能な通常攻撃」や「特殊技のスーパーキャンセル」といったゲージ行動が単にMAXキャンセルコンボで済ませられてしまい形骸化してしまったという意見も見られる。このあたりはシステムの簡略化により生じる表裏一体の面と言える。 攻守どちらにも逆転性があるものの、前作同様ガードなどで溜まるパワーゲージ増加量が多めなため攻撃よりもガードでゲージを溜めたり、「ゲージに余裕があれば攻めずに安全圏で待って相手の隙を窺い、牽制だけ振って引っかかったらクイック発動狙い」と消極的な戦い方に発展もしやすい。 また旧作ではスーパーキャンセルで超必殺技を発動する場合はゲージを余分に消費させられていたが、今作ではそれが無くなっているためゲージを消費する行動が行いやすい。パワーゲージさえあれば逆転のチャンスが増えているが、各種パワーゲージ消費量の低コスト化により上記のクイック発動が頻発しやすくなり超必殺技キャンセルコンボが大味化、事故率も高まっているとも言える。 変わり映えがしないシステム群 新章になるとシステム自体も様変わりしてた『KOF』シリーズだったが、前作『XIII』のシステムを再構成し調整されたものがほとんどで、目新しいシステムはほぼないに等しい。グラフィックが3Dになった以外は良くも悪くもいつも通り。 新鮮味が薄いとも言われているが、今まで通りの『KOF』という事で旧作ファンが復帰しやすかったり、長年使われた基本システムだけに遊びやすく考慮されているので、これはこれで正解だろう。かつてマンネリ打破の為に新システムとして「99」においてストライカーシステムを導入したものの、非常に賛否両論の雨嵐であり、『2003』『XI』のマルチシフトシステムも長続きしなかった事を考えると、余計なものを入れなかった判断は正しかったといえるか。 問題点 質に難のあるグラフィック リアル調のキャラクターグラフィックだが、全体的にモデリングがやや簡素であり、一世代前のグラフィックと酷評されていた。キャラの多さと表裏一体の問題とも言える。 後にアップデートでライティングなどが改善され、全体的に当初より良くなっている。 ゲームエンジンは開発当初の段階でUnreal Engineを使うことも検討していたが、開発力とコストの兼ね合い、そして3Dグラフィックのノウハウを蓄積する必要があるという理由により見送りとなり、自社製のエンジンを使うことになった(*16)。 ライティングやシェーダーが弱いことは開発側も認めているため、発売後のアップデートで改善はしているものの、まだ発展途上にあると言えよう。 本作(と派生作品である『SNKヒロインズ』)の開発である程度のノウハウが蓄積されたのか2019年6月に発売された『SAMURAI SPIRITS』ではUnreal Engine 4を採用している。 グラフィック自体はやや簡素なものの、モーション自体はどのキャラもかなり滑らかではある。 が、レギュラーキャラの攻撃モーションに関してはやや不自然に感じやすい部分も見受けられたり、滑らかな反面動作がやや冗長気味になり判定がわかりづらくなったりする部分も生じる。 家庭用オンラインモードの仕様 ランクマッチの仕様 「検索」と「待ち受け」の2種類が存在するが前作『XIII』のランクマッチの仕様から変わっておらず、前者が1P・後者が2Pと固定されている仕様のためか、「検索」では「待ち受け」の相手しかヒットしない。逆のパターンも同様で、純粋に不便。 「待ち受け」もトレーニングモードで待ち受けが可能なものの、オンラインモード時でのトレーニングモードでのみでしか待ち受けが行えず、通常メニューのトレーニングモードからはオンライン待ち受けは行えない。 フリーマッチの連戦の仕様 フリーマッチはいわゆるプレイヤーマッチ。多人数対戦部屋に当たるもので、対戦方式に「勝ち抜き」「勝ち抜け」「連戦」の3つの方式が存在する。 「連戦」方式の場合、その名のとおり試合が終了しても同じ対戦相手と間を置かず即座に再戦可能だが、部屋を建てたホストが部屋を解散しない限り両者が合意すれば無限に再戦可能となっているため、下手をすれば2人だけで永遠に部屋を占有する事態が発生してしまう。この方式に限り観戦機能も無いため、こうなってしまうと部屋で待機しているメンバーはどうしようもない。なおかつトレーニング待ち受けがフリーマッチには存在しないため待機中は待ちぼうけ状態になり、対戦相手が来るまで時間つぶしなどもできない。 本当に即座に再戦が始まるため部屋の状況も見られず、試合中のプレイヤーに周りの様子を伝えるチャット機能なども無いため、連戦中のプレイヤーにとっても不便なところである。 この辺りの問題も含め、「10戦で終了」や「10本先取で終了」など細かく対戦数が設定できる機能、または『SAMURAI SPIRITS』に搭載されている、待機しているプレイヤーがいた場合、試合終了後ロビー画面に戻され連戦が一旦止まる同様の仕様が欲しかったと言う意見もある。 なお先述にあるようにホストが部屋を解散すると消滅してしまうので他のプレイヤーは試合終了後に強制的に追い出される、また最悪の場合試合途中で突然終了してしまうことも起こり、残っている他のプレイヤーにホストを引き継がせるシステム又はホストがロビーチャットの定型文以外で部屋解散の予告を全員に知らせるシステムがほしいという意見もある。 パーティーマッチの仕様 KOFは通常一人のプレイヤーが3キャラをまとめて操作するが、このモードに限り1プレイヤーが1キャラずつ担当する。今作独自のオンライン対戦方式である。 KOFは3キャラ1チーム同士での対戦なので計6キャラ登場し、パーティーモードの対戦を行うには計6人が集まる必要がある。そのため始めるまでのハードルが高い。 それだけならまだしも、パーティーモードでのトロフィー(or実績)が存在し、1回だけならともかく最大100回対戦を行わないと取得できないものまで。 フレンドで確保できるプレイヤーであれば比較的容易だが、そうでないプレイヤーが解除するにはハードルが高すぎるため、部屋名に「トロフィー(実績)取得部屋」と表記するなどの工夫が強いられる。それにしても多すぎると言える。 チームストーリーがゲーム内に未搭載 各チームのストーリーは公式サイトに掲載されており、ゲーム中では確認できない。その為、ゲームだけをプレイしていると、バックボーンがわからずに中間デモとEDだけシナリオが流れる事になってしまい、シナリオが良くわからない事態に陥ってしまう。 その中間デモも今回の物語の垣根に関わってる一部のチームにだけ専用デモがあるだけで、それ以外のチームはエディットチームと同じというなんとも寂しい状態になっている。 詳細なバックストーリーを確認できるのがゲーム誌や公式サイトといった外部媒体のみであるという点は、SNK作品(特にKOFシリーズ)ではいつもの事ではあるが、今となっては時代遅れとしか言えない。 総評 中国資本による新生SNKの始まりを象徴する新生『KOF』シリーズ、その初代作。 キャラとシステム両面におけるKOFの特徴を活かしつつ、シリーズ初期に立ち返ったような要素も多く見られる。 現状ではそれらの特徴との表裏一体の問題点も多いが、対戦格闘ゲームとしての出来は及第点以上。 発売後のサポートの手厚さも含め、SNKブランドを現在に売り出していく気合は確実に感じられる一本である。 余談 声優話いろいろ 本作以前よりKOF好きを公言して憚らなかった声優界屈指のガチ格闘ゲーマーにしてKOFのガチ勢である市来光弘氏は、アーケード版のシステムボイス担当として本作に参加している。 明天君の声優である劉セイラ氏は、中国人ながら日本で声優として活動している変わり種。本作のイベントへも積極的に参加している。 今作から3Dグラフィックになった理由は「『KOF XIII』での2Dグラフィックに高い評価をいただく機会は多いが、今後5年10年先を考えると今のままでは先はないだろうということと、現在の事情から見ても3Dグラフィックの表現方法や技術・ライブラリといったノウハウを蓄積していく方が未来はあるのではないかと開発スタッフが総意として決めたもの」とのこと(*17)。 旧SNK自身も3Dゲームに悪戦苦闘していた(*18)歴史があるため、非常に重みがある。また、2Dグラフィックのクオリティに拘りすぎて中身のクオリティがおざなりになってしまった『XII』での失敗を考えれば、英断だったといえよう。 本作のキャラクターデザインはSNKプレイモア時代から同シリーズのパッケージや広報イラストなどを何度か手がけてきた、おぐらえいすけ氏が初のメインデザイナーを務めている(*19)。 DLCキャラクターのナジュドと彼女の専用ステージは、2017年9月よりSNKとサウジアラビアの「マンガ・プロダクションズ」が共同で中東地域の若者向けにSNSを通じて行った『KOF XIV』のデザインコンペで受賞し採用されたものとなっている。 本作の発売から約1年後、バンダイナムコの『鉄拳』家庭用作品『鉄拳7』へギース・ハワードがゲスト参戦している。 出身元である『餓狼伝説』シリーズからの参戦扱いだが、パワーゲージの概念やパワーMAX周りのシステムなど、本作の要素が盛り込まれたキャラクター性能となっている。 AC版では2019年2月13日稼働の『鉄拳7 FATED RETRIBUTION ROUND 2』で追加された。 後に本作に出演した女性キャラクターの後日談を描いた派生作品『SNKヒロインズ -TagTeamFrenzy-』が発売されている。 シリーズ久々のコミカライズが2018年1月から月刊少年シリウスとマガジンポケットにて連載されていた(*20)。タイトルは「THE KING OF FIGHTERS -A New Beginning-」(あずま京太郎:著)。2020年8月10日の配信を以て完結している(*21)。 また、上記とは別にコミッククリアにて「THE KING OF FIGHTERS XIV ORIGINAL COMIC」(華小二:著)がWeb連載されていたが3ヶ月ほどで連載終了。尚、単行本化はされていない。こちらは本作の中国チームとサイコソルジャーチームの対戦が主軸の話となっている。 PC版とAC版リリース後の2017年8月3日~2018年1月8日にかけて、中国のiDragons StudioとマレーシアのAnimonsta Studios製作によるCGアニメ「The King Of Fighters:Destiny」が主要動画サイトにて配信された(*22)。 全24話構成。ストーリーは『 94』~『 96』を元に構築されており、特定キャラのサイドストーリーを挟むなどオリジナル要素もある。 英語字幕だが音声は日本語で、各キャラの声優は一部を除き本作のキャストが中心となっている(*23)。 DLCにて復活したキャラクターは、かつてのテーマソングのアレンジ版が使われているが、ロックのみ完全新曲が投入された。 というのもかつてのテーマソングには盗作の疑惑が指摘されている為致し方なしか(*24)。 ナコルルを始めとしたサムスピ勢に関して、今までは「世界観が違うから出さない」という話となっていたが、本作のインタビューの中で「そういう事にしていた」という事が発覚。 今までの『KOF』シリーズは代々『 94』で作られたゲームエンジンをベースにしていたのだが、これがサムスピ特有の武器やママハハといった大きなスプライトに対応していなかったため、技術的にも出せなかった…とのこと(*25)。 その後の展開 2022年2月17日に本作の流れを汲んだシリーズナンバリングタイトル『THE KING OF FIGHTERS XV』がPS5/XSX/PS4/Winで発売された。 オロチ四天王(*26)やアッシュの再登場、『餓狼』シリーズのキャラクターやルガールの復活、『サムスピ』チームの初登場など新旧『SNK』シリーズ集大成を思わせる内容となっている。
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THE KING OF FIGHTERS バトルDEパラダイス SNK 2000年7月6日 NGP(カラーのみ対応) キング・オブ・ファイターズシリーズのキャラでやる 双六型の対戦ボードゲーム DCのTHE KING OF FIGHTERS 99 EVOLUTIONと連動して、それでしか出せないキャラもいる
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/209.html
THE KING OF FIGHTERS '94 ストーリー 概要 参戦チーム 特徴・システムなど 評価点 問題点 その他 総評 その後の展開 余談 家庭用移植 THE KING OF FIGHTERS '94 RE-BOUT 概要(RE-BOUT) 変更点(RE-BOUT) 評価点(RE-BOUT) 賛否両論点(RE-BOUT) 問題点(RE-BOUT) 総評(RE-BOUT) THE KING OF FIGHTERS 94 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 アーケード(MVS) 発売・開発元 SNK 稼動開始日 1994年8月25日 レーティング CERO B(12歳以上対象) 配信 バーチャルコンソール【Wii】2007年11月6日/926ポイントアーケードアーカイブス【PS4】2016年10月27日/823円(税8%込)【Xbox One】2017年3月9日/823円(税8%込)【Switch】2017年3月16日/823円(税8%込) 判定 なし ポイント SNKオールスター対戦と3on3ドリームマッチの原点システムも同社作品の集大成とアレンジキャラ絵の濃さに時代を感じる KOFシリーズ関連作品リンク ストーリー 1994年。KING OF FIGHTERSを開催する。なお、今大会は特別ルールとして3人1組のチーム対戦形式にて取り行う。以上……。 [R] 世界中の格闘家たちに、またもやキング・オブ・ファイターズの招待状が届いた。 しかし差出人は不明。主催者はギースでもクラウザーでもないはずだ。それでは一体だれが? 疑惑と期待の中、格闘界歴戦のスーパースター達が、新たな対戦方式のもと、強力なチームを結成し始めた。 歴史に残る豪華な顔触れがどんな対戦を見せてくれるのか? 人々のボルテージがすでに最高潮に達している中、大会はついに開始の時を迎えようとしている…。 概要 これまでSNKがリリースした人気タイトルのプレイヤーキャラクターが集結し参戦するオールスター・ドリームマッチ対戦格闘ゲーム。 後に年代をまたいだ大型シリーズとなる、SNKを代表するゲームタイトルの記念すべき第1作目である。 参戦チーム 各国を代表する8つのチームにそれぞれメンバーが3人、計24人がプレイヤーキャラクターとなる。メンバーはチームごとに固定でエディット(組み替え)は無し。 チームと出典は以下の通り。(本シリーズのオリジナルキャラは太字) 日本最強チーム 日本 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 餓狼伝説チーム イタリア テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ 龍虎の拳チーム メキシコ リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア タクマ・サカザキ 怒チーム ブラジル ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル サイコソルジャーチーム 中国 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 女性格闘家チーム イギリス 不知火舞 キング ユリ・サカザキ アメリカンスポーツチーム アメリカ ヘビィ・D! ラッキー・グローバー ブライアン・バトラー キムの教育してやるチーム 韓国 キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ 最終ボス ルガール・バーンシュタイン(CPU専用) この頃からすでにステージ背景やバックストーリーはチームごとに用意されていた。日本代表チーム、及び同チームの筆頭メンバー「草薙 京」が本シリーズ固有の主人公キャラとなる。主人公の京を始め、本作のオリジナルキャラもこの時点で既にそこそこの人数が存在していた。 ただし、本作の初期カーソルは1P側が『餓狼』チームに、2P側は『龍虎』チームに合っている。これに合わせてか、本作のあらすじも間接的に『餓狼伝説』シリーズの流れを汲んだものに近く、『THE KING OF FIGHTERS』(以下『KOF』)としてのストーリーの大局といったものは、まだはっきりとは存在していなかった。 なお、最終戦は本作オリジナルキャラ「ルガール・バーンシュタイン」との3vs1となるが、一人あたりの体力には相応の差がある。 特徴・システムなど 3on3の勝ち抜き戦(=3ラウンド先取)方式。相手を一人KOすると残り時間に比例し若干体力が回復する。相手チームを全員倒したら勝利。 設定により、それまでの格闘ゲームと同じ1on1方式にすることも可能。 ドローになった場合は両者とも負け扱いになり、次のメンバーが登場する。両チームの3人目がドローになった場合は再び3人目同士の対戦になり、そこでドローになると両チームともゲームオーバーになる。 システムもオールスター作品らしく、同社の「『餓狼伝説』+『龍虎の拳』」といった感じであり、これに細かいアレンジと肉付けを行っている。 1ライン制を採っているため、『餓狼』シリーズの「ライン移動」は「攻撃避け(A+B同時押しで、投げ以外に対し長時間全身無敵になる)(*1)」となり、「ライン飛ばし攻撃」は「ふっとばし攻撃(*2)」に変更された。 『餓狼伝説2』や『餓狼伝説スペシャル』にあった「避け攻撃」こと「スルーアタック」も採用。自分が防御モーションを取っている間にレバー前+AorBと入力すると出る専用の特殊攻撃であり、必殺技でキャンセル可能+上半身無敵効果がつく。ただしスルーアタック自体の攻撃力は0。しかも相手は吹っ飛ばないので、状況によってはスルーアタックの硬直中に逆に攻撃を喰らってしまうこともある。 「パワーゲージ」のシステムは同社の『サムライスピリッツ』のような逆転要素を持つものだが、これに『龍虎』シリーズの気力システムを加えて戦略性や攻めの方向性を付加している。攻撃を食らう・攻撃をガードする・「パワー溜め」(A+B+C長押し)のいずれかで上昇し、相手のパワーゲージは「挑発」(遠距離でレバーニュートラル+C)で減らせる。 パワーが最大まで溜まると攻撃力が1.5倍になり、「超必殺技」を使えるようになるが、超必殺技の使用または一定時間(パワー溜めでゲージをMAXにした場合は10秒、それ以外は5秒)で解除されてゲージが0に戻る。また、体力が1/4以下になっている時はゲージにかかわらず超必殺技を出せる。これは『餓狼』シリーズのシステムに近い。 なお、超必殺技のコマンドはまだインストカードに記載されない隠し技扱いだった。 パワーMAXかつ体力が1/4以下だった場合は、超必殺技の攻撃力が1.2倍になる。これは『龍虎』シリーズの隠し必殺技(ゲージを多めに所持かつ体力がギリギリの状態で出せる)に近い。 パワーMAX時は先程までに記した通り攻撃力が上がり超必殺技も使えるなどのメリットが目立つ一方で、ヒットバックが通常よりも大きくなるため、通常時に繋がる連続技が繋がらなくなるというデメリットも存在する。しかし逆に、通常ではガードされると反撃される必殺技も、パワーMAX時は間合いが離れるため反撃を受けなくなるというメリットもある。 体力ゲージが0ドットかつパワーMAX時だと、異様に攻撃力が上がる。例を挙げるとチャンの通常投げだけで9割のダメージとなり、ヘビィ・D!の超必殺技「D・クレイジー」に至ってはこの技だけで10割となる。 挑発はレバーやボタン入力でいつでもキャンセルできる。この点は『餓狼』シリーズの挑発に近い。 「ガードキャンセル」は本作では「相手の攻撃を5回以上連続でガードすると、ガード硬直を必殺技でキャンセルできる」という仕様として採用。 格闘ゲーム出身キャラの必殺技のコマンドや性質は原作とほぼ同じだが、変更・削除されたものもある。 「龍虎乱舞」など『龍虎の拳2』で隠し必殺技だったものが超必殺技になり(*3)、「覇王翔吼拳」など超必殺技だったものが通常必殺技になっている。 本作ではテリーの「ライジングタックル」やキムの「飛燕斬」など無敵必殺技が軒並み弱体化しているが、ゲーメスト増刊のインタビューで「無敵必殺技は強すぎて、ゲームバランスを崩す要因となるので弱くした」とスタッフが語っている。 『餓狼』シリーズ出身キャラはしゃがみ歩き(レバーを前斜め下に入れることでしゃがんだままゆっくり前進)もあるが、あまり使えない。 『龍虎』シリーズ出身キャラは三角跳びが削除されたが、逆に『餓狼』出身の舞は新たに使えるようになった。 フロントステップは全キャラが同じ仕様というわけではなく、舞と鎮は転がりモーションとなっている。 浮くタイプのフロントステップは空中扱いのため空中必殺技を出せる。中でもブライアンのスクリューボディプレスは実戦的。 『龍虎』シリーズ出身の女性キャラには脱衣KOがある。残念ながら舞やアテナの服は破けない。 特定の条件下で待機メンバーによる「援護攻撃」(A+B+C)が使える。条件は、「気絶状態」もしくは「相手の掴み技で掴まれてから起き上がるまでの間」であること、待機状態のメンバーが画面内にいること、相手より体力が少ないことの3つ。 援護攻撃はガード可能、ダメージ無し、ヒット時ダウン効果あり、援護に来たメンバーは無敵という性質を持つ。 敗北したメンバーは画面奥でダウンし、援護で呼べなくなる。 ラスボスのルガールには待機メンバーがいないため、代わりに背景にいるペットの黒豹が援護攻撃を担当している。 コマンド投げを連続技に組み込む事ができる。この仕様は、後のシリーズ作品にも実に様々な形を取って継承されている。 といっても本作ではコマンド投げを連続技に組み込むととんでもないことになるのだが…(詳しくは後述)。 本作におけるコマンド投げは、「投げ間合いを含む条件が満たされた場合のみ、コマンド成立と同時に(=0フレームで)発動する必殺技」という概念と思われる。よって、投げスカりの固有モーションはまだ存在しない。 このためか、コマンド投げが成立しない状態(相手がガードポーズを取っている、あるいは投げ間合いの外)で通常技をコマンド投げでキャンセルすると、何も技が出ずに通常技のモーションのみがキャンセルされる(*4)。 キャラクターごとの性能の強弱はかなり格差が大きい。本作はキャラクター単位ではなくチーム単位での総合戦闘力でバランスを取っている節が大きい。 3ラウンド先取が基本設定であることの兼ね合いのためか、平均的なダメージが対戦格闘ゲームの平均より大きい部類であり、気絶もしやすい。1チャンスからのお手軽コンボで大逆転などが日常茶飯事の大味なバランスである。 連打で出る必殺技(ジョー・ヒガシの爆裂拳など)は、全ての地上通常技をキャンセルして出せる。 タクマの強飛燕疾風脚、クラークのバルカンパンチ、ラッキーのサイクロンブレイク等一部の必殺技は空中コンボ判定となっており追撃が可能。 評価点 総勢24名というキャラクター数は当時では抜きん出たラインナップだった。そして2本先取が基本だった格闘ゲームにおいて、3本先取を原則とした(=1クレジットで体力ゲージ3本分戦える)というのもかなりの大盤振る舞いだったといえる。 ただしその分一人あたりの体力は低い。また「操作キャラを3人も覚える必要がある」ととらえる事もできるが、『龍虎』チームのように全員コマンド体系が似ているチームや、『怒』チームのように全員溜め系あるいは連打系の簡単なコマンド体系のチームを用意するなどの配慮もあった。 キャラは『餓狼』や『龍虎』をはじめとしたSNKの色々なゲームから選出されており、今でこそ定番キャラとなったものの、当時はやはりオールスター色が強く非常に華やかだった。 本作オリジナルキャラの日本チーム、特に草薙京も、そういった面々の中にいても決して埋もれていない。 各キャラクターの原作再現も忘れずに行われている。特に『龍虎』や『餓狼』が出典のキャラクターは、あの「龍虎音」などのヒット音があり、コマンドもほぼ同じですんなり扱えたりとゲーム的な利点もあった。 チーム選択制で、チーム内のキャラクターの強弱がはっきりしているため、3人をそれぞれどの順番で戦わせるかが勝敗を左右する駆け引きの一部となっていた。アーケードの格闘ゲームとしては新鮮な感覚だったと言える。 問題点 概要項を見ての通り、『サムライスピリッツ』からの参戦は無し。 世界観の問題や得物の有無によるバランスの問題など、様々な理由が挙げられてはいたものの、結果的に『KOF』シリーズ自体が出典との設定の違いやキャラバランスなどの細かい事をあまり気にしない方向での進化を遂げたため、その判断が正しかったのかどうかは何とも言えない。 この点については、続編で『KOF』独自路線のストーリーが展開されるようになるまで、いの一番に指摘される問題となっていた。 その後、『XIV』発売前のインタビューにて同作のプロデューサーである小田泰之氏は「ナコルルは開発側でも当時から出したかったという要望はあった。しかし、サムスピ自体KOF 94と同時期の開発であったことに加え、ナコルルがあそこまでの人気キャラになるとは(当時は)誰も予想していなかった。だから、ゲームエンジンの基礎部分に武器やママハハ等といったキャラクターとは別のスプライトを被せる仕組みも組込まれておらず、KOF 95以降もそうした基礎部分を引き継いでいたので、(ナコルルは)出したくても出せなかったというのが実情だった」と述べている。 「ゲーメスト」増刊では攻略ライターの一人が「サムスピのキャラがいない所に、メーカーのうまさを感じられる」と語っていた。 後の『 97』では三誌合同企画として、読者投票による参戦キャラを決める企画が開催されたが、『サムスピ』シリーズからは「世界観を考慮して」という理由で黒子のみがノミネートされた。 その後も長らく本編シリーズでのサムスピからの参戦はなく、派生作品である『熱闘KOF 95』や『MI2』などで登場するのみだったが、『XIV』にてようやく本編でナコルルが参戦、さらに『XV』ではDLCながら「サムライチーム」としてチーム単位での参戦を果たした。 小技連打が強力。 強攻撃はヒットバックが大きく連続技をつなげにくいが、逆にしゃがみ弱Kの連打は一発のダメージが馬鹿にならないくせに入る手数が多く気絶まで狙える。「めくりで飛び込み→小足連打→気絶」には萎えるプレイヤーも少なくなかった。特に紅丸やキムは小足連打からキャンセル必殺技に繋げられるためこれを露骨に狙うプレイヤーが続出した。 もっとも酷いのは鎮。連打が完璧or連射装置付きなら立ち弱P連打だけで気絶→気絶になってしまう。多少連打が甘くても、鎮はジャンプ強Pが2ヒット技のためここから弱P連打に繋げばめくらずとも気絶→気絶。 小技連打とはやや異なるが、アンディは画面端で「しゃがみ弱P→弱斬影拳」×nという永久連続技が存在していた。 一部のコマンドの必殺技が出しにくい。 いわゆる「昇龍拳コマンド(*5)」の必殺技が、京の「百式・鬼焼き」や拳崇の「龍顎砕」など一部の技はレバーを入力した後一旦ニュートラルに戻さないと、必殺技が出ずに通常技が出てしまうという謎の現象が存在する。一方、リョウの「虎咆」などは斜め下で止めてもちゃんと必殺技が出たりする。 キングの「トルネードキック」はきちんと斜め下で止めないと死に技の「猛襲脚」が暴発してしまったりする。 チームメンバーを自由に選択、結成できない。 シリーズで唯一、まだチームエディットができなかった作品だったため、あるキャラが使いたくても同じチームの他の2人は使いたくない、という事態が発生する例も少なからず見られた。 CPU戦の高難易度 やはりというか、この時期のSNK格ゲー同様の超反応ぶりを有する。 一面から飛び道具の避けやガード固めに対する投げでの崩しなんて当たり前。ガードで反撃ができる局面なら容赦なく攻勢に出てくる。 CPUのヘビィ・D!とクラークは、実は連打の利く小技を連打し続けるだけでパーフェクト勝利が取れてしまう(連射装置が無いと手が疲れてしまうが)。 ラッキーは隙の小さい飛び道具「デスバウンド」でCPUの攻撃避けを誘って投げてしまうというパターンが有効。またロバートの「飛燕龍神脚」やキムの「飛翔脚」を出し続けるパターンも対空技を持たないCPUには有効である。 中でも本作ボスのルガールは凶悪なボスとして良く名が挙がる。 最初は上着を着た第一形態で、この状態では投げ技と必殺技を持っていない(立ち強Pはガードしても必殺技同様に体力を削られる)。投げ技を持っていない弱点を突いて、飛び込みを誘うor起き上がりに攻撃避けを出して投げ、というパターンにはめられる。 上着を脱いだ第二形態は高性能な技に加えて、この当時のSNKの代名詞とも言える超反応で襲ってくるため倒すのは至難であった。特に彼の必殺技「ジェノサイドカッター」は通常の必殺技でありながら、パワーゲージMAXの状態で2段共に食らうと体力MAXから9割減らされてしまう事から語り草となっている。 とはいえ近づいてきたところを投げたり、しゃがみ強Pが横方向に強いキャラ(餓狼チームや怒チームなど)は近づいてきたところにそれを連発するだけでかなり戦える。またパワーゲージ溜め中は反応が鈍くなるため、その隙に乱舞や突進系の(超)必殺技、投げなどが入りやすい。 舞だけは、弱ムササビの舞を出すとジェノサイドカッターの空振りを誘発できるため、すぐに必殺忍蜂を出すとジェノサイドカッターの隙にヒットさせられるというパターンが存在していた。 キングでは少し離れてイリュージョンダンスを出すだけで勝ててしまう(技の出だしの回転動作に反応してジェノサイドカッターを空振るので、技後の隙にヒットする)。 その他 何かとバグが多かった。 一定の条件下で投げられ判定が消えてしまい、攻撃避けが万能無敵状態になるといったやや危険なものもある。 が、面白いバグも数多く、好意的に受け止められた部分もある。 + 代表的なバグ 「投げてからダメージが入るまでに自分のキャラを動かせる猶予がある通常投げ」を決め、投げのダメージが入るまでに超必殺技を出すと、その通常投げのダメージと得点が超必殺技のものになる(有名なのはアテナの投げ→シャイニングクリスタルビット。他にも鎮、ブライアン(*6)、キムも可能だがキムは鳳凰脚の最初の一撃分のダメージしか入らないため逆に攻撃力が減少してしまう(得点は稼げるのだが))。 リョウ、キム、ブライアンは特殊なコマンドを入力すると、空中で超必殺技が出せる(後の空中鳳凰脚の元ネタ)。(*7) 飛び道具を出してから前後にステップをしてからまたすぐに飛び道具を出すと、画面中に2個飛び道具を出せる。 ハイデルンのストームブリンガーの一段目の攻撃値と気絶値が、直前の攻撃(または決めた投げ技)のものになる。特に1P側でムーンスラッシャーを空振りした後に決めるとダメージが異常に上がる(*8)。 このバグは印象的だったためか、『 95』以降でも再現されている(*9)。ちなみにこの数値はタイトル画面を表示しない限り初期化されないため、CPUルガールを含む全キャラの攻撃でダメージが変化する。 ハイデルンではもう一つ、1P側のムーンスラッシャーが相手の攻撃と相打ちになると、ダメージが激増する。これも『 96』以降で、カウンターダメージが大幅に増加するという形で再現されている。 ジャンプ攻撃ヒットまたは通常技キャンセルからのコマンド投げの連続技を決めた後、ダウンした相手に前ステップ等で近づいてコマンド投げを入力すると、ダウン中の相手を投げてしまえる。投げ硬直の短い大門がやりやすく、凶悪な連続技として有名(*10)。 弱ボタンで入力した技のコマンドを、発動中にもう一度強で入れなおすと、弱の性能で発動し強の効果を持つようになる。その逆もできる。今作で実戦的だったのはアテナのフェニックスアロー切り替え(スキの無い弱で出し、ヒット時のみダウンを奪える強に切り替える)ぐらいだが、次回作『 95』で猛威を振るうことに。 グラフィックはそれまでの原色に近い色使いと丸みを帯びたSNK作品と異彩を放ち、シャープなライン・ドットの組み合わせと淡い色使いによる濃い画風になっている。 というのも、本シリーズのドッターはゲーム事業を撤退していたアイレムからの移籍組だったため。当時業界最高峰と言われていた彼らは、このシリーズの他にも『メタルスラッグシリーズ』を手掛けることになる。 キャラ人数を重視する作品だけに一人一人のモーションパターンの数量は餓狼伝説などには劣るため、必殺技・超必殺技の動きは粗く見える場合が多かった。それでも本作のキャラグラフィックにおける評価は、後作での評価のハードルを図らずも引き上げてしまうほど高いものとなった。 一部のチームの代表国の割り当てが妙なことになっている。 日本、アメリカ、韓国は問題なく、3人中2人が出身国として該当する中国や、その国の傭兵部隊という括りで当てはめたブラジルもまだ言い訳が立つ。しかし、それ以外のチームは割り当てられた代表国の出身者が一人もいないため、無理矢理当てはめた感が強い。 イタリア代表(餓狼伝説チーム)は『餓狼伝説シリーズ』でアンディがイタリア代表にさせられていたため(*11)、それを流用した可能性がある。もっとも、アンディはアメリカ人であり、他の2人もアメリカ人と日本人である。 メキシコ代表(龍虎の拳チーム)は2人が日本人で1人がイタリア人だが、「極限流道場の支部がメキシコにある」という理由でメキシコ代表扱いになっている(*12)。 イギリス代表(女性格闘家チーム)は2人が日本人で1人がフランス人であるが、キングの経営するバー「イリュージョン」がイギリスに支店を出しており、『KOF』シリーズでのキングは主にそこで活動しているというやや強引な設定。 しかしいずれも各国代表と言うにはこじつけ感が強い。イタリア人のロバートがいる龍虎の拳チームをイタリア代表に出来なかったものだろうか。なおイギリスチームについては企画段階ではキング、ビッグ・ベア(ライデン)、ビリー・カーンとなる予定であり、そのうちビリーがイギリス人だったのでその名残とも考えられる(*13)。 一応設定上では、そもそも招待状が個人単位で届く事から、その人物が指名したメンバーであれば経緯や招待状の有無も問われない様子であるため、メンバーの事情などで成行きに代表となってしまったとも考えられる。 ゲーメストムックの開発者インタビューでは、代表国の割り当てについてはスタッフが「営業的な兼ね合いで決定した」と語っていた。 次回作以降は、登場キャラクターの増加に伴い、国という括りで分けることが困難になったため、主人公チーム(日本)とキムチーム(韓国)以外は代表国の割り当てがなくなった。『XIV』では本作とは異なるメンバーで中国チームとメキシコチームが結成された。 総評 「豪華なのか地味なのかわからない」この中途半端さが本作の泣き所である。 SNKゲームのラインナップは超能力や銃火器の飛び交う破天荒な世界観が当たり前のようにあったが、一堂に会するにあたって非日常性がやや薄れたことも重なり、1作内へのすり合わせの結果過去作から参戦してきたキャラたちが良くも悪くも大人しくなってしまった。 本作の新キャラクターたちもまた確かに魅力的だった。そこに加えて、同社のスターキャラ同士が同じ土俵に上がり、格闘ゲームのチーム戦を演じる。 「サムスピもあれば…」との声も確かにあるが、それを差し引いてもお祭り気分は申し分ない。 サムスピキャラ以外に足りないものを挙げるなら、自由にチームを組める自由度と、大味なバランスの改善、またはそれを吹き飛ばすほどの華やかな本作ならではの独自要素だろう。 後者の課題をクリアし、『KOF』がシリーズとして花を開かせるには、来年の発表までもう少し時を待つ必要があったようだ。 その後の展開 続編の『 95』が、ほぼ1年後である翌年の夏にリリースされた。以降、『KOF』シリーズは毎年夏にリリースされていき、『2001』で一旦様々な諸事情(詳しくは前述にリンクした作品の紹介ページを参照)により時期こそズレが生じたものの年号通りの年内にリリース、その後も『2003』まで毎年、年号通りの年内にはリリースされ続けたが、2004年に本編のリリースがついに途切れたため、翌年2005年リリースの『XI』以降はナンバリング形式に移行している。 『 97』では、本作から受け継がれたシステムをベースにキャラクターを操作する「EXTRAモード」が実装され、『 96』風+ストックパワーゲージの「ADVANCEDモード」の2種類から選択できる。 余談 「元々はオリジナルチームとオリジナルキャラがメインのゲームになるはずだったが、(チームバトルの格闘ゲームとして成り立つ分の)キャラ数が多すぎた理由で既存キャラを使う事になった」というのが本作のできる発端だったらしい。言われてみると主人公が1P・2Pの2人というゲームが多い以上、作品ごとにチームを組むなら2人1組が自然なのに3人1組で、なおかつ『サイコソルジャー』や『怒』はオリジナルキャラを追加して無理やり3人組にしているなど、原作ありきでは不自然な構成が多い。(*14) 以前『餓狼伝説スペシャル』に『龍虎の拳』の主人公が隠しボスとして登場するといった夢の競演もあり、この頃から『餓狼』のキャラと『龍虎』のキャラで対戦したいという要望は少なからずあったが、本作がそれに応えて生まれたわけではなく偶然の一致なのである。 そして、初期構想では「リーダー+似た性能の二人」というシフトが中心になる予定だった。 リーダーの存在が大きい韓国チームやサイコソルジャーチーム、他それぞれ必殺技性能やコマンドの傾向が似通った龍虎・怒チームにもその片鱗が見て取れる。 本作から約11年後に、本作と同じSNK及び(同社や版権を所有しているメーカーの)ネオジオオールスター・ドリームマッチ路線の対戦格闘ゲーム『ネオジオバトルコロシアム』が発売・稼働開始した。こちらは前述で記した通り当初はSNKオールスター路線として企画されてはいなかったKOFと違い、最初からオールスター路線として企画されていたこともあり、本作では出場できなかった『サムライスピリッツ』シリーズのキャラも多く参戦、他にも『月華の剣士』シリーズなどのKOFシリーズに参戦したことがない格闘ゲームのキャラや、『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズ、『メタルスラッグ』シリーズなど格闘ゲーム以外のジャンルのキャラ達に加えてさらに、当時既にADKの版権を所有していたこともあり『ワールドヒーローズ』シリーズ、『痛快GANGAN行進曲』といったADK作品のゲームのキャラ達も参戦、一堂に会している。 その後、『KOF』自体でも『XIV』でようやく『サムスピ』出典キャラの本編参戦が叶った。 格闘ゲーム以外では、後にリリースされた携帯アプリ向け恋愛ゲーム『デイズ オブ メモリーズ』シリーズでも『KOF』『餓狼』の現代勢と『サムスピ』『月華』の江戸勢の競演が実現した。「やっぱり“夢の競演”といったらこのくらい大胆な方がいいか」という路線に考え直したという事だろうか。 『DOM』については後にニンテンドーDSにも移植されている。 発売・稼働当時に放映された本作のCMは、本作がオールスター格闘ゲームというセールスポイントを前面に出した内容となっており、「餓狼とか、龍虎とか....」「その噂は本当なのか!?SNK歴代キャラクター達が集結!!?」などと如何にもそのセールスポイントを強調した台詞が飛び交っていた(*15)。 原作では『龍虎』が『餓狼』のおよそ10年前という設定だったが、本作では両作品のキャラクターが同時代の人物として大会に参加しているなど、原作とは似て非なるパラレルワールドの設定となっている。(*16) 元々は「夢の共演」であり原作の年代差などは考慮せずに制作されていたのだが、『KOF』が人気となりシリーズ化されたことで独自のストーリーを展開していくことになり、各キャラクターにも原作に無い『KOF』独自設定が付加されていった。 本作時点でも、オリジナルキャラや時代の合わないキャラに対して原作を持つキャラが面識を持っていたりする。 その後各原作が事実上終了して『KOF』だけが継続した結果、『KOF』でのキャラ付けの方が有名になってしまうという逆転現象も起きている。 「ゲーメスト」において1994年のゲーメスト大賞を受賞している。 ちなみにゲーメストムックではやはり通常運転レベルともいうべき誤植が多く、本作に関するものでは「ジャンニーキックプ」「ハキデるン」「シマイニングクリスタルビット」「ブライマン」などが存在している。 しかもハイデルンの名前に至っては、(ムックを含めた)ゲーメスト誌上において、「ハキデるン」「ハイデルソン」「ハンデルン」と計3回も誤植されていた。ハイデルンが何をしたというのだ。 実は草薙京は開発の初期段階では暴走族のヘッドで「霧島 翔」と呼ばれていた(*17)。紆余屈折を経て改造学ラン姿の現行デザインに変更され、更に開発終盤になってからキャラ名が「草薙 京」に変更されて「ヤマタノオロチを退治したという草薙流古武術の使い手で留年高校生」という設定も追加された(*18)。 もし霧島翔のまま主人公として登場していたら、『KOF』シリーズの展開がどうなっていたか気になるところではある。その霧島翔もDC版『 99』のエクストラストライカー、『2000』の京のアナザーストライカーとしてゲームに登場している(*19)。 チョイ・ボンゲは本作の発表当初のイラストでは縞模様のシャツを着用していたが(ゲーメストムックではこのイラストが掲載されている)、元ネタである『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーに酷似し過ぎて海外スタッフからクレームが来たため、半袖の緑Tシャツにサスペンダー付ズボンという服装に変えられている。 その割にはプロフィールの「大切なもの」の項目では、「フレディのツメを真似て自分で作ったツメ」と紹介されているが。 本作のタイトルは『餓狼伝説』および『龍虎の拳2』でギースが主催していた格闘大会の名前に由来する。(海外版『餓狼伝説』のサブタイトルでもある) ただしそれら由来元は、「KING OF THE FIGHTERS」とTHEの位置が異なっていたり、「KING OF FIGHTERS」とTHEが冠されてすらいなかったりなどと、表記にブレも見られた。 本作の少し後の1995年2月1日に稼働開始した、ザウルス製作のSNKクロスオーバー作品『クイズ キング・オブ・ファイターズ』のタイトルも同じ由来を持つが、本作との関わりは薄い。(*20) 他にも、本作との関係性は薄いとはいえ、同社SNKには『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズなるアクションゲームや、『リーグボウリング』というボウリングゲームの作中で「KING OF LANE」と表記された床や看板が出てきたりなど、「KING OF(キング・オブ)」という表記や表現を好んでいた傾向が見られた。 第一作目当時のタイトルの略称はまだ『KOF』が定着していなかったが、『KOF』の略称は既にゲーム内に登場していた(アメリカチームのステージ背景に、『KOF』のロゴが入った旗が存在する)。 その後『 96』で劇中の大会ロゴマークに『KOF』と描かれていたり、OPなどのデモにその略称が登場したりと、公式でも割と速い段階で定着させていた。 ラスボスのルガール・バーンシュタインは『餓狼伝説』シリーズのボスキャラであるギースの「烈風拳」とクラウザーの「カイザーウェーブ」、また本作の麻宮アテナの「サイコリフレクター」に似た「ダークバリア」を使うのだが、これは企画当初の「プレイヤーの技を見ただけで完全に使いこなしてしまう」という設定が実現できなかったため、その名残として「優れていると思った技をなんでも取り入れる」という形として既存の必殺技などを使うようになった、ということである。 勝利メッセージ画面のバストアップイラストのうち、餓狼・龍虎勢のうち3名(アンディ、ジョー、ユリ)については、各種出典の公式イラストからのトレスだったりする。 本作が漫画化された作品が真行寺たつや氏によって描かれ、この年の12月に創刊された角川書店の月刊漫画誌『少年エース』の創刊号から連載された。 後に全4巻で単行本化もされている。 家庭用移植 1994年10月1日にネオジオROM版が、同年11月2日にネオジオCD版が発売された(発売元は共にSNK)。CD版は激長ロードがアレな事とアレンジBGMに変更されている、パワー溜めのボイスが通常の攻撃時のボイスに差し替えられている事を除けば、それ以外は両者共にほぼ完全移植となっている。なおCD版のロードは後発の『KOF』と違い、試合開始前に6人分のキャラをロードするため試合中のロードが無い(その分ロード中は極長だが)。 ネオジオ以外のプラットフォームにおいてはしばらくの間は一切移植がされなかった(*21)が、2004年12月28日に10年ぶりのリメイク移植『THE KING OF FIGHTERS 94 RE-BOUT』が発売された(詳しくは下記にて)。 2007年11月6日からネオジオROM版がWiiのバーチャルコンソールにて配信されている。要900Wiiポイント。 2010年12月22日からプレイステーション・ポータブル/同3のネオジオステーションにもネオジオROM版基準が配信されていたが、2016年7月27日を以て本作を含めた全タイトルが配信終了となった。要700円(PSP)/要900円(PS3)。 PS3版に限りネット対戦も可能であった。 2016年10月27日、PS4にてMVS版が配信開始。ハムスターが展開する『アーケードアーカイブス』から派生した『アケアカNEOGEO』の第一弾としてリリースされた。 2017年3月16日、Nintendo Switchの方でもハムスターよりアケアカNEOGEOの一つとして配信が開始された。こちらはSwitch発売日である3月3日に同時に配信されていた『 98』より、ほんのわずかに遅れての配信となった。 ネオジオROM版ではなくMVS版の完全移植はこれが史上初となる。クレジット投入やレベル表記なども再現、他の配信タイトル同様に5分間でどれだけスコアを稼げるか競う「キャラバンモード」も搭載されている。ただしサービスの主旨からか、残念ながらネット対戦は搭載されていない。(*22) また、2009年5月21日に発売されたオムニバス集『SNK ARCADE CLASSICS Vol.1』、及び2010年6月24日に発売された『THE KING OF FIGHTERS PORTABLE 94~ 98 Chapter of Orochi』(発売元は共にSNKプレイモア)にも本作が収録されている。 THE KING OF FIGHTERS 94 RE-BOUT 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー りばうと】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 プレイステーション2 発売・開発元 SNKプレイモア 発売日 2004年12月28日 判定 なし ポイント 初のネオジオ関連以外の『 94』移植リメイクと原作移植の二本立て 概要(RE-BOUT) 『 94』(以下、主に「原作」と表記)のリメイク移植であり、ネオジオ以外では初の家庭用移植でもある。KOFシリーズ10周年記念作の一つとして発売された(*23)。 当時、家庭用ゲーム機が16ビット機から32ビット機への移行期であった94年から95年にかけての約一年ほど、SNK・ADKのネオジオ作品が他社のハードへの移植作を取りやめていた時期があった(*24)。セガと契約し初めて自社制作及び発売で他社ハードに移植したネオジオ作品が『 95』であり、PSにもソフトを提供するようになり以後はその空白期間の作品も徐々に移植されるようになっていったが、年一本ペースで発売される『KOF』(及び『サムスピ』)に関しては最新作を移植するのが精いっぱい(アーケード→ネオジオ→ネオジオCD→他機種という順だがその間隔は相当な短さ)であり、『 94』に関しては長い間他社ハードへの移植が行われる機会が与えられなかった。 然るに、本作のリリースは隔年リリースに変わった後のシリーズの10周年を記念した企画として行われたものであり、ハードはPS2になってからであった。 ドットをハイレゾ化し背景を3D化するなどグラフィックをPS2相当にすべてリニューアルし調整を加えたリメイクと、原則として原作のネオジオROM版をベタ移植したオリジナルの2本が収録されている。 リメイク版は原作では不可能だったチームエディットが可能となり、原作では主人公チーム使用時限定のデモに登場していたが、プレイアブルとしては本来は『 95』から登場する草薙柴舟が新たに追加された。また、原作ではCPU専用ボスだったルガール・バーンシュタインも使用可能になっている。また、リメイクといっても、共通システムは若干の変更が行われているだけで(詳しくは次項「変更点」に記述)、操作性と共に原型・根本は変わっておらず、既存のキャラの技構成も一切変更されていない。原作に存在していたバグについては危険性の高いものは削除する一方、プレイの幅を広げたり面白みがあるものについては残されているなど、完全に作り変えてしまうのではなく、あくまで『 94』の雰囲気を残したままのリメイクとなっている。勿論?脱衣KOも健在。ついでに草薙柴舟本人が操作キャラとして新たに追加されたにもかかわらず、主人公チームのデモでも台詞テキストにおいて表示される人物名が「父」なのもそのまま。 初回限定盤はネオジオCD付属のパッドをPS2用にボタンを増やすなどリファインしたコントローラー『ネオジオパッド2』と記念に作成されたゲーメストムックが付属していた。ちなみにこのネオジオパッド2は後に単品販売は行われていない(*25)。 マルチマッチングBB対応第一弾タイトルであり、ネット対戦可能だった。後のNEOGEOオンラインコレクションシリーズの前身とも言える。 OPも原作のドット絵のものではなく新規アニメが作成されている。キャラクターデザインは原作当時のキャラクターイラストの濃い画風が忠実に再現されており、2004年発売の作品とは思えないほどに90年代(見方によっては80年代とも)アニメの雰囲気を醸し出している。 変更点(RE-BOUT) 追加要素やグラフィックの画風の変更などは前項で記しているため、主にシステム面における原作こと『 94』からの変更点を以下に記す。 パワーゲージの場所が変更された。 原作は現在のシリーズと同様に(*26)画面の最下段に表示されていたが、本作は体力ゲージの横のキャラアイコン(円形)の周囲を囲うように曲線状で表示されている。 パワーMAXになると、MAX状態終了までの間、キャラアイコンが「MAX」のテロップ表示に置き換わる。 背景に待機中/倒された控えメンバーが表示されなくなった。 これに伴い、援護攻撃で援護してくれるキャラクターは、ネスツ編のストライカーの如く、画面外から飛び出して登場する仕様に変更された。 画面内に映っていなくても援護できるようになったため、使用可能範囲自体も大幅に拡大されており、ほぼステージ中央から分かたれる形で、左側エリアが1P側、右側エリアが2P側の範囲となっている。 なお、設定で背景をリメイクからオリジナルに戻した場合は控えメンバーが表示される形式に戻り、使用可能範囲も原作通りに戻る。 続編『 95』以降のようなキャラ相関による相性は一切存在しないため、使用条件(控えメンバーが残っており、相手より体力が少ない状態で気絶or掴まれる)さえ満たせば柴舟やルガールなども含め100%援護を行ってくれる。 パワーMAX中にガードキャンセルが使用可能になった。 システムにおける一番大きな変更点。これは続編『 95』で採用されているシステムそのままで、そちらで対戦バランスを崩壊させたシステム(詳しくは『 95』のページを参照)をそのまま導入してしまっていることに首を傾げてしまうかもしれないが、これは恐らくリメイク版でも健在の脅威的な小足・小技連打への対抗手段として、あるいは初心者の敷居を下げるために導入したものと思われる。 使用してもMAX状態を打ち切らずMAX状態時間内なら使い放題なのも『 95』と同様。強いて違いを挙げるなら、MAX状態の有効時間がそちらより短い(これは原作も同様)ことくらい。 連続技を決めた際にヒット数がカウントされて表示されるようになった。また、前述のガードキャンセル使用時にも同じ場所にテロップが表示される。 攻撃避け使用時に画面が奥に若干動くようになった。背景の3D化を活かした演出。 超必殺技を使用した時に画面が停止して暗転するようになった。 本シリーズにおいては本来は『 97』以降で導入された演出。 ルガールの必殺技、「ゴッドプレス」が超必殺技に変更された。 原作ではボスのルガールのみ超必殺技がなかったが、リメイク版では原作で必殺技の一つだったゴッドプレスが超必殺技に変更される形で搭載された。 これは、本来原作をそのまま再現しているはずのネオジオモードでも同様に改変されて同様の仕様となっている。 後の『 95』以降のルガールの新規超必殺技であるギガンティックプレッシャー(*27)に似せての選出と思われる。 評価点(RE-BOUT) 良くも悪くも原作『 94』と殆ど変わらない操作性や感覚、システム、雰囲気。 まるごと作り変えてバランスも根底から調整するのではなく、あくまでも当時の原作を出来るだけそのまま再現することに重点を置いており、原作を遊んでいた人へのファンサービスとしては及第点。 また全て原作のままというわけでもなく、例えば対人戦でのみ気絶耐久値を原作の1.5倍に引き上げ気絶しにくくなる(CPU戦はそのまま)など、バランスを配慮した面も見られる。 原型を極力守りつつも、対戦に支障をきたす危険なバグの除去を行っている。 例として空中で非ダウン技を食らうと投げられ判定が無くなるバグなど、一部バグが修正されている。 一方で空中超必殺技バグなど面白味のあるバグはそのまま残っている。 グラフィックもハイレゾ化や背景の3D化を行いつつも、当時の画風をそのまま残している。 新規アニメのOPムービーに至っては最早、あえて時代を逆行しているようにも見える。 リメイク背景は原作から一新されており、今後のシリーズに登場することになる者も含む歴代SNKキャラクター達が多数登場している。 また、設定でオリジナル版の背景に戻すことも可能。 賛否両論点(RE-BOUT) 原型を尊重しているのは評価点でもあるのだが、それと同時に、「シリーズや格闘ゲームが発展した今やると技もキャラも少なくて物足りない」/「小足・小技連打が脅威でキャラ差が目立っているなど大味な対戦バランスは変わっていない」といった欠点も同時に抱えて/引き継いでしまっている。 とはいえ、これは元々オリジナルを尊重し、原型を出来るだけ残して先の時代にも遊べる出来にすることに重点を置いて作られたリメイクであるが故にコンセプトを大幅に逸脱するわけにもいかなかったことは察しがつく。逆にそこが(主に当時のファンに)嬉しいという意見もあるので、一概に問題点とは言えない。 また、小足・小技連打が脅威なのはそのままな一方で、それへの対抗手段として「パワーMAX中はガードキャンセル使い放題」というシステムを設けたのは、初心者の敷居を低くもした純粋な評価点であり、原型を留める形で調整を施したともとれる。 チームエディット導入 システム等はほぼ原作とほぼ変わらない状態で新たにチームエディットを導入した結果、『 95』以降と同様に強いキャラクターのみで固めるチームが組めるようになった。 原作ではチーム固定だったからこそのバランスもあったのだが、今回はそれが崩壊してしまった形にもなっている。追加キャラクターの柴舟とルガールが揃って強キャラなのもそれに拍車をかけている。 もちろん好きにチームを組めるというのはメリットも大きく、原作に無い新たな要素かつ後続のシリーズでは当然のシステムでもあるため、本作独自の売りであるとも言える。 攻撃避けで背景まで動く演出がやや過剰 確かに3D化を活かした演出ではあるのだが、いちいち避ける度に背景全体が動いてしまうため、実際の対戦ではかなり気になるものとなってしまっている。 問題点(RE-BOUT) デザイン変更されたパワーゲージが見づらく、視認しにくい 変更点で述べたようにパワーゲージが体力ゲージ横の円形のキャラアイコンを囲うように曲線状になって配置されたのだが、これが元々小さいキャラアイコンに合わせたサイズである上に小さくて細く、しかも最上段の左右端それぞれに配置され、デザイン自体も湾曲した独特の形状になっているせいで、極めて見づらいものになってしまっている。テストプレイで気付きそうな不便な点だと思うのだが……。 追加されたエディットチーム用のエンディングが非常に簡素 エディットチーム用の汎用エンディングが新たに追加されたのだが、基本的なストーリーをなぞるだけで、特にエピローグも無く尻切れトンボ気味で終了となる。 確かに元々の『 94』には本来存在しなかったものではあるが、『 95』以降のエディットチーム用の汎用エンディングと比較してもあまりにシンプルすぎる内容になっている。 柴舟やルガールが新たに使えるようになったものの、彼らを使用した場合の特殊エンディング等も特に無しで、上記の簡素なエディットチーム扱いとなる。 総評(RE-BOUT) 『 94』を現代風に蘇らせたリメイク作品。 よくも悪くも原作の持ち味がそのまま残っており、原型を尊重したリメイクとしては合格と言える。
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THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD 機種:GBA 作・編曲者:中村隆之、磯田重晴 開発元:アートゥン 発売元:マーベラス 発売年:2002年 概要 KOFシリーズの初のアドバンス作品。SNKではなくマーベラスからの発売となる。 キャラデザインは『KOF99』、システムは『KOF2000』のものをベースとしており、BGMも基本『KOF2000』からのアレンジである。 バグの多さやモーションのカクつきのひどさなどからゲームの評価は低く、BGMもピコピコしたPSG音源がメインで使われているため音質もそれほどよくない。ボイスも少なめ。 ただし一応『KOF2000』のBGMを忠実に再現しているため、『KOF2000』のPSGアレンジが聞けるソフトとして価値はあるかも。 ちなみにボスである庵とギースのテーマはアレンジではなく本作オリジナル曲。 続編に『THE KING OF FIGHTERS EX 2 Howling Blood』があるが、本作とは打って変わって極めて高い評価を受けている。 収録曲(1部仮曲名) 曲名 作・編曲者 補足 順位 NEO BLOOD オープニング Ready to Go キャラクターセレクト INNER SHADE 主人公チーム「草薙京/二階堂紅丸/葉花萌/矢吹真吾」元は『KOF2000』の紅丸チームの曲 Beauty the Beast 龍虎の拳チーム「リョウ・サカザキ/ロバート・ガルシア/キング/ユリ・サカザキ」 The Trooper 怒チーム「レオナ/ラルフ/クラーク/ウィップ」 Will サイコソルジャーチーム「麻宮アテナ/椎拳崇/包/鎮元斎」 TERRY115 餓狼伝説チーム「テリー・ボガード/アンディ・ボガード/不知火舞/ジョー・東」 WILD PARTY 韓国チーム「キム・カッファン/チャン・コーハン/チョイ・ボンゲ/ジョン・フーン」 Orochi Lineage VS.八神庵 Original Host of KOF VS.ギース・ハワード The Survivor 勝利デモ Sunset エンディング1 Escape of Tower エンディング2 We Will Meet Again エンディング3 It s Over ゲームオーバー
https://w.atwiki.jp/rakatonia/pages/31.html
the King Of Vanpia Hunters 格闘大会、来る!
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/325.html
THE nbsp; KING nbsp; OF nbsp; FIGHTERS nbsp; EX nbsp; NEO nbsp; BLOOD gt; 20-177~178 ---- 177 :KOF-EX:2006/01/08(日) 06 28 25 ID Ygrn+eMv 今更需要もへったくれもないだろうが、KOF-EXシリーズのストーリーを。 詳しく覚えてないのでいろいろあやふやだがとりあえず主人公チーム。 KOF-EX 時期はKING OF FIGHTERS 99~2000の間(色々矛盾があるのだが、 一応そうと思われる)、一種のパラレルストーリー。 主人公、草薙京は、堕落し地球を傷つける人間を見かね 滅ぼそうとした地球意思・オロチを退けた「三種の神器」と呼ばれる 一族の一角、草薙家の現当主。 他の神器の末裔と協力し、復活したオロチを命懸けで再封印する事に 成功した京だったが、オロチとの戦いの後意識を失った彼は、 その凄まじい力に目をつけた謎の組織、ネスツに捕えられてしまう。 そしてその後…研究材料にされながらもなんとか脱出に成功した彼の元に、 一通の招待状が届く。 「KING OF FIGHTERSを開催する」 仲間と共に決勝戦まで進んだ京。 決勝戦のステージが廃墟である事を訝しがる彼らの前に現れたのは、 「三種の神器」の一角、オロチの力に魅せられ神器を裏切った八尺瓊家の 末裔であり、京の宿命のライバルでもある八神庵だった。 178 :KOF-EX:2006/01/08(日) 07 20 20 ID Ygrn+eMv いきなり襲い掛かってきた八神と闘う京たち。 なんとか八神を倒すと、彼は急に咳き込み苦しみ始める。 それは、オロチと血の契約を結びオロチの血を引くことに なった八神家特有の錯乱状態、いわゆる「血の暴走」を起こす 寸前の症状だった。 そして、不意にその場に現れた男―― KING OF FIGHTERSを始めて開催した人物であり (ただし、KOFシリーズのKING OF FIGHTERSの主催は彼ではない) アメリカの都市、サウスタウンを支配する闇の実力者、ギース・ハワード。 KOF 96には選手として参加した彼は、地球意思・オロチの凄まじい力に 興味を持っていた。 「惜しい、実に惜しい。もう少しでオロチの力が覚醒すると思ったが……」 オロチの血を引く八神を追い詰めその力を引き出すためにKOF優勝者と闘うよう 仕向けたらしいギースは、京たちに勝負を挑んでくる。 ギースに勝利した京たち。 「オロチの力は見極められなかったが…なかなかに楽しませてもらった」 「逃げる気か?」 「逃げる?逃げるのはお前たちの方ではないか?」 その直後、ステージが音を立てて崩れ始めた。 「生きていたらまた会おう。生きていたらな!」 何とか脱出に成功した京たちは、日常に戻っていく。そして、八神庵も―― 「フン、くたばりぞこなったか、京…まぁいい、いずれまた……」